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”お金にもセカンドオピニオンを”の生まれたエピソード


 お金にもセカンドオピニオンを。

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 2009年の冬、ある相談を受けました。
 若くしてご主人を亡くされた女性からお子さんの教育資金と今後の生活費についてのご相談でした。

 たくさんのことをお聞かせいただきました。亡くなられてから数ヶ月しか経っていないのに、とてもそうは感じ取れない笑顔の素敵な奥さまでした。

 最後に生活費のベースにもなってくる遺族年金について質問しました。その時点で受け取りが確定していたのは、遺族基礎年金(国民年金部分の遺族保障)のみでした。

 詳しく伺うと、ご主人はお勤め(厚生年金)だったころにがんを発症し、退職を余儀なくされ、2年間の闘病期間を経て亡くなられました。最後は国民年金でした。

 手続きにいった社会保険事務所(現、年金事務所)で2時間半、職員3名がかりだったそうですが特に詳しい説明はなく「遺族基礎年金が出ます」。役所の専門の人がそう言うのだからそうだろうと女性は何に疑問も持たず納得して帰って来られたそうです。

 見逃されがちですが、厚生年金期間中に初診日のある疾病で、初診日から5年以内の死亡の場合、遺族厚生年金も出ます。疑問に感じたので、ご主人の”ねんきん特別便”(当時)をお預かりして分析し、女性とともに社会保険事務所へ行きました。

 結果、、、遺族厚生年金が出ることになりました。額にして年間約63万円。女性は一生涯受け取ることができる公的な年金です。

 また、遺族基礎年金の給付はお子さまが18歳の3月末日をすぎれば終了しますが、遺族厚生年金には中高齢寡婦加算という、奥さまご本人が将来自分の公的年金を受け取るまでの期間出てくる遺族年金もあります。これは年間約59万円。あわせればとんでもない額です。

 たまたま相談を受けた私が、たまたま年金に明るかったので気がつくことができたのだと思います。この女性にはお付き合いのある税理士さんも弁護士さんもおられましたが、もちろん年金が専門ではありませんから疑問を持たれなかったようです。

 公的な機関でさえ、こういった事例が生まれてしまう世の中です。住宅ローン・運用商品・生命保険などなど、複雑な金融商品のあふれている今の時代、何の疑問も持たずに関わっている仕組みなのに、もしかするとたいせつな視点が抜けてしまっているかもしれません。結果として大きな額の違いが生まれてしまっているかもしれません。

 第3者の視点が万能というわけではありません。立場の異なる専門家の意見を聞いてみるという選択肢があってよいと思うのです。よりよい選択肢が見つかるかもしれません。

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 ”お金にもセカンドオピニオンを。”

 この言葉の生まれたエピソードです。私はこの相談をきっかけに、新たな取り組みを始めることとなりました。機会がありましたら、お役に立てれば嬉しいです。

 長文をお読みいただき、ありがとうございました。
 (この内容は、2009年2月のブログ記事を再編集したものです。)