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図表でみる世界の年金 2019年版【第10章22/44】オーストリア


図表でみる世界の年金OECD/G20インディケータ(2019年版) 2021年11月12日初版第1刷発行 を読みました。

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他国の状況を知りたい目的で購入しましたので第10章「図表でみる世界の年金2019:国別プロフィール」から国別で紹介しています。全44か国あります。

前回の記事はこちら → 図表でみる世界の年金 2019年版【第10章21/44】デンマーク
22か国目はオーストリアです。

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■オーストリア p246-250

65歳超人口が現役世代人口の46.2%に達する日本の公的年金給付費 対GDP比は10.2%。
65歳超人口が現役世代人口の31.3%のオーストリアは公的年金給付費 対GDP比は13.3%。

平均寿命は日本(84.0歳)より2歳半ほど短い81.3歳です。


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受給要件

受給開始年齢は男性65歳、女性は60歳だが2024~2033年にかけて65歳へ引き上げ。
受給要件は過去30年のうち15年以上、または生涯を通じて25年以上、または保険料拠出期間が15年以上。
2005年の制度改革により有償労働は7年間でも良く、残り8年は育児休業期間などを充てることができる。


年金額の算定方法

・所得比例年金

1955年より前の生まれ 所得が最も高い30年の再評価で算出、2028年までに対象が40年間に延長される。
1955年以降生まれ 生涯所得をもととする。

保険料は年額71820ユーロ(1ユーロ=130円として)=約934万円までの所得に賦課。
支給開始後は消費者物価指数の伸びに応じて受給額は改定。支給回数は年14回。


・最低額保証制度

年金受給額と年金以外の収入(対象外の所得もある)が単身者で月909.42ユーロ=約11.8万円、夫婦で1363.52ユーロ=約17.7万円を下回る場合に資力審査付きの追加給付。
単身者に限り保険料拠出期間30年ある場合2018年で1022ユーロ=約13.3万円が支給(2017年に導入)


・特定階層向け制度

資力審査付きの最低所得保証制度は居住期間に基づいた非拠出制度。高齢者を対象として設計されたものではなく、高齢者は年金を含む一切の収入減がない場合のみ利用可能。認定難民などが対象のようです。

単身者は月863.04ユーロ=約11.2万円、夫婦は月1296.56ユーロ=約16.9万円で、年12回支給。適用のためには個人の収入が4315ユーロ=約56.1万円以下でないといけない。


・追加給付

住居費や暖房費として定額給付や実費支給などがある。


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キャリアの変動への対応

・早期受給開始の場合

年あたり減額率4.2%。保険料拠出期間が女性42年、男性45年以上が要件で2014年以降は女性57歳、男性62歳から受給開始可能で、女性は62歳へ段階的に引き上げられる。
女性1959年以前生まれ、男性1954年以前生まれは別の規則が適用。

保険料拠出期間に加えて、直近20年のうち10年以上肉体的に厳しい職業に従事していれば女性55歳、男性60歳から受給可能で減額率1.8%。

早期受給しながら月438.05ユーロ=約57000円を超える所得を得た場合、全額支給停止。


・受給開始を遅らせる場合

女性60~63歳、男性63~68歳の受給開始で年あたり4.2%増額。
繰下げ期間は保険料の拠出も継続する必要があり、結果として受給額はさらに増加。

男性65歳以上、女性60歳以上は勤労所得と年金収入をそれぞれ制限なく得ることができる。


・育児(休業)の場合

子1人につき最長4年までの育児期間は被保険者期間として考慮。この期間は月1828.22ユーロ=約23.8万円として算入。

・失業の場合

受給期間は拠出年数に算入。


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個人所得税と社会保険料

・年金受給者への課税

特別な規則は存在しない。


・年金所得への課税

特別な軽減措置は存在しない。


・年金受給者に賦課される社会保険料

社会保険料を支払い必要は無いが、疾病保険への拠出が必要(5.1%)


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年金制度モデル化の結果:オーストリア
・2061年に65歳から受給開始

ドイツ・スペインと似た形です。給付水準に上限があるため、平均所得の約1.6倍までの所得代替率は同じですが、それ以上の所得になると下がります。


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男女の5歳差が日本と似ていますね。

公的年金給付費の対GDP比は日本より高く、それでいて長期的にも受給開始年齢が65歳のままで他の先進国とは異なって若いままです。平均余命が取り立てて短いわけでもありませんから、将来的に不安を強く感じます。
「特定階層向け」もありますから日本でいうところの生活保護に似たものが含まれているのだと思います。毎回同じことを書きますが、公的年金制度として一律に比較することの難しさを毎回感じる次第です。

 

次回、図表でみる世界の年金2019【第10章23/44】ポーランドです。



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