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図表でみる世界の年金 2019年版【第10章20/44】スイス


図表でみる世界の年金OECD/G20インディケータ(2019年版) 2021年11月12日初版第1刷発行 を読みました。

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他国の状況を知りたい目的で購入しましたので第10章「図表でみる世界の年金2019:国別プロフィール」から国別で紹介しています。全44か国あります。

前回の記事はこちら → 図表でみる世界の年金 2019年版【第10章19/44】ポルトガル
20か国目はスイスです。

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■スイス p398-402

65歳超人口が現役世代人口の46.2%に達する日本の公的年金給付費 対GDP比は10.2%。
65歳超人口が現役世代人口の31.3%のスイスは公的年金給付費 対GDP比は6.5%。

平均寿命は日本(84.0歳)とほぼ変わらない83.5歳です。


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受給要件

受給開始年齢は男性65歳、女性64歳。
満額受給には男性44年、女性43年の保険料拠出期間が必要。


年金額の算定方法

所得比例型公的年金の支給額は全就労期間の平均所得額を基準に算定。
給付額の上限:平均所得額の31%相当額28200スイスフラン(1スイスフラン=110円として)=約310万円、下限:同16%相当額14100スイスフラン=約155万円で、「2本の枝」構造。

上限(最高額)は全就労期間の平均所得額が国全体の平均所得額の93%に相当する84600スイスフラン=約931万円で該当。
夫婦への最高支給額は単身者への最高支給額の150%相当額。

ここの説明で出てきました。「給付の算定式は高所得者から低所得者に対して再分配を行う形」という文章です。公的な保障と再分配がしっかりと書かれているのは珍しいです。
また、「夫婦」という表現が出てきました。仮に夫婦ともに個人としては最高額を受け取れるだけの平均所得があったとしても、合計に150%の上限があるかのように読み取れました。実際にはわかりませんが、夫婦だからこその条件(しかも上乗せではなく給付を抑える仕組み)があるのは興味深いです。


・強制加入の職域制度

1985年に導入。所得額21150スイスフラン=約233万円以上の者に適用。
「クレジット建て」の個人年金勘定を基本とし、事業主が半分以上を掛金として負担。
受給開始時の年金資産額の1/4以上を一時金として支給。


・特定階層向け制度

十分な収入のない個人には老齢・遺族基礎年金(AVS)や障害基礎年金(AI)に加えて補足給付がある。
・基礎的部分 19290スイスフラン=約212万円
・家賃総額の最高額 13200スイスフラン=約145万円
・疾病・障害に伴う費用償還の最高額 25000スイスフラン=約275万円


・社会扶助

州(カントン)単位。


・任意加入の制度

掛金には税制上の控除が適用。2018年の拠出限度額は被用者6768スイスフラン=約74万円、自営業者33840スイスフラン=約372万円。
給付時には所得税が課税。繰上期間5年で1年あたり6.1%減額、1年の場合は6.8%。


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キャリアの変動への対応

・早期受給開始の場合

公的年金は男性63歳、女性62歳から早期受給可能。1年ごとに6.8%減額。
職域年金は58歳から可能。

日本は年4.8%ですので大きいですね。


・受給開始を遅らせる場合

公的年金は最大5年可能。増額率は1年5.2%、2年10.8%、3年17.1%、4年24.0%、5年31.5%(年平均6.3%)。
職域年金は最大70歳。繰下げ期間5年で1年あたり6.1%減額、1年の場合は6.8%。

日本は年8.4%、5年で42%増ですから日本のほうが増額が大きいです。


・育児(休業)の場合

16歳未満の子の育児のために就労しなかった期間は育児のために就労をやめた年の年金給付最低保証額の3倍相当額の所得を得ているものとされる。2018年で42300スイスフラン=約465万円に相当。


・失業の場合

失業給付には社会保険料が賦課されるため老齢年金の保険料も負担。所得額が極めて定額な場合は基礎自治体が最低限の保険料を負担。


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個人所得税と社会保険料

・年金受給者への課税

カントンでは追加的控除措置適用。連邦所得税では特別な控除なし。


・年金所得への課税

特別な税制優遇措置なし。


・年金受給者に賦課される社会保険料

強制加入の医療保険制度の負担のみ。

日本でいうところの皆保険制度かと思います。


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年金制度モデル化の結果:スイス
・2061年に65歳から受給開始

再分配が確認しやすいグラフです。日本の基礎年金と同じ部分がありますが、上乗せの厚生年金(職域年金)部分は日本と違ってすぐに上限に達するので低所得者と高所得者の所得代替率に大きな差があります。


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各国の情報をまとめるにつれて、社会保険としての公的年金保険制度と社会福祉・社会扶助としての生活保護の境界が国によって違うことがわかり、各国数ページの情報でこれらの詳細や概念がわかるわけもなく、20記事書いてきたことで果たして記事にしてきたことに意味があるのかどうかわからなくなってきたりもしています…m(_ _)m

結局は自己満足になってしまいますが、とりあえず44か国の完走をめざします。

 

次回、図表でみる世界の年金2019【第10章21/44】デンマークです。


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