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図表でみる世界の年金 2019年版【第10章19/44】ポルトガル


図表でみる世界の年金OECD/G20インディケータ(2019年版) 2021年11月12日初版第1刷発行を読みました。

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他国の状況を知りたい目的で購入しましたので第10章「図表でみる世界の年金2019:国別プロフィール」から国別で紹介しています。全44か国あります。

前回の記事はこちら → 図表でみる世界の年金 2019年版【第10章18/44】スペイン
19か国目はポルトガルです。

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■ポルトガル p369-376

65歳超人口が現役世代人口の46.2%に達する日本の公的年金給付費 対GDP比は10.2%。
65歳超人口が現役世代人口の38.6%のポルトガルは公的年金給付費 対GDP比は13.3%。

平均寿命は日本(84.0歳)より2年と少し短い81.7歳です。

イタリアほど高くありませんが、日本を上回る公的年金給付費の対GDP比です。


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受給要件

老齢年金の受給開始年齢は2014-2015年は66歳、2016年は66歳2ヶ月、2017年は66歳3ヶ月、2018年は66歳4ヶ月。前2年間の平均での65歳時点の平均余命の伸びを2/3倍して自動調整する仕組み。
毎年7月と12月に通常の支給月額と同額の追加給付がある。保険料拠出期間15年で受給権を得る。


直近2年の期間の平均を取って受給と思っていた直前にまた1ヶ月伸びる…というようなことがあるってことですよね。1ヶ月の違いは伸びるものとした前提でポルトガル国民は計画たててるのでしょうか。全年齢が気になるとことだと思いますけれど、比較的近い今40代とか50代の人は何歳まで伸びるかめっちゃ気になりますよね。
また、年金に賞与があるイメージですが、年額の1/14が月額ということです。


年金額の算定方法

・所得比例制度

年金支給額=参照所得額×給付上率×制度安定化係数

2002~2011年の所得額は消費者物価指数上昇率の75%分。
社会扶助基準額(IAS)2018年428.9ユーロ(1ユーロ=130円として)=約56000円(月額?)に対する個人所得額の割合が給付乗率。所得額/IAS≦1.1の乗率2.3%、同>8.0の乗率2.0%。

制度安定化係数は2017年10月以降、障害年金および極めて長期間就労した者の算定には適用されなくなり、繰上げ受給の場合にのみ適用。2018年8月において受給総額が社会扶助基準額(SSI)643.35ユーロ=約84000円の1.5倍以下の場合、大幅に増額された額を受給。


・最低額保証制度

保険料拠出期間31年以上、5450.76ユーロ=約71万円(労働者平均賃金額の30%)
同10~15年3767.12ユーロ=約49万円(同21%)


・特定階層向け最低額保証制度

受給者・配偶者・子の世帯所得の一定割合を「家族連帯」の価額で評価し、参照額との差額を高齢者連帯補助制度として扶助。


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キャリアの変動への対応

・早期受給開始の場合

40年以上の保険料拠出期間がある者は60歳から可能であったが停止。1月ごとに0.5%の減額率。
60歳以上で拠出期間48年以上ある者、拠出期間46年以上で14歳以下から就労し始めた者にはいかなる減額措置も適用されない。

時代とか国の特性なのかもしれませんが就労開始14歳以下って…


・受給開始を遅らせる場合

最長70歳まで繰下げ可能。拠出年数に応じて増額率が異なる。40年以上は月1%、15~24年は0.33%。

25歳から65歳まで漏れなく働いて保険料を拠出して受取開始を70歳にした場合、6割も増額になってしまいます。大丈夫でしょうか。


・育児(休業)の場合

産前産後期間の算定基礎となる所得額は休業開始2ヶ月前の直前6ヶ月の賃金額をもとに設定。2002年以降、12歳未満の子を養育するために短時間就労となる期間のうち最大3年をフルタイム就労と扱う措置を実施。


・失業の場合

52歳以上の失業・長期失業にはさまざまな施策が書かれていました。南欧は特に若者の失業率が高いイメージがあるのですが、どうなのでしょうか。


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個人所得税と社会保険料

・年金受給者への課税

7070ユーロ=約92万円の特別な所得控除あり。3.5%定率の税。


・年金所得への課税

特別な減税措置なし。


・年金受給者に賦課される社会保険料

就労している受給者は7.5%、事業主16.4%の社会保険料を拠出。
65歳以上で拠出40年以上労働者は同8%、事業主17.3%。

事業主負担がめちゃめちゃ大きいですよね。日本は消費税が低い代わりに社会保険料が特別高いといつも言われるように感じますが、国によってはそんなことないですよね。


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年金制度モデル化の結果:ポルトガル
・2064年に68歳から受給開始

グラフの形はフィンランドとほぼ同じです。
異なるのはグラフの傾斜が大きい(所得の多い人はより多く受け取れる)こと、そして所得代替率が約75%と高いことです。(所得代替率の定義が日本と各国でどれだけ違うのかがいまいちまだよくわかっていません)
ただし、家族連帯という仕組みや最低額保証制度を確認した限り、そもそもの平均的な所得が低いなかで多くの給付があるからこそGDP比も大きいということで制度の持続性に不安を感じる次第です。


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例えばドイツでも5ページしか使われていないのに、なぜポルトガルは8ページも割かれていたのかよくわかりません。訳者都合か各国都合か何なのでしょうね。

「家族連帯」はインパクトありました。欧米には強い個人主義的なイメージを持ってしまっていますが、南欧は家族主義的なところがまだまだ残っているのでしょうか。

 

次回、図表でみる世界の年金2019【第10章20/44】スイスです。



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