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図表でみる世界の年金 2019年版【第10章18/44】スペイン


図表でみる世界の年金OECD/G20インディケータ(2019年版) 2021年11月12日初版第1刷発行 を読みました。

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他国の状況を知りたい目的で購入しましたので第10章「図表でみる世界の年金2019:国別プロフィール」から国別で紹介しています。全44か国あります。

前回の記事はこちら → 図表でみる世界の年金 2019年版【第10章17/44】ベルギー
18か国目はスペインです。

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■スペイン p387-390

65歳超人口が現役世代人口の46.2%に達する日本の公的年金給付費 対GDP比は10.2%。
65歳超人口が現役世代人口の32.8%のスペインは公的年金給付費 対GDP比は11.0%。

平均寿命は日本(84.0歳)より少し短い83.3歳です。

イタリアほど高くありませんが、日本を上回る公的年金給付費の対GDP比です。


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受給要件

保険料拠出期間15年で受給権を得る。
38.5年の保険料拠出期間があれば65歳から満額の受給開始可能。同36.5年未満での満額受給は2018年で65.5歳。受給開始は2027年に67歳へ。


年金額の算定方法

・所得比例制度

給付乗率は拠出期間15年で50%、37年で上限の100%。
制度安定化係数(TSF)は2018年7月の法成立で発動停止中。2023年までに持続可能性を確保するための対策実施は合意。

受給額の算定基礎となる所得額は2018年は過去21年間、2022年以降は過去25年間。過去分は物価に応じて再評価。所得の上限は2018年45644.4ユーロ(1ユーロ=130円として)=約593万円。

収入の上限が非常に低いと感じます。あくまでも最低額の保障という位置づけなのかもしれませんが、それでいて公的年金給付費の対GDP比が大きいのはなぜなのでしょうか。


・最低保証額と上限額

65歳からの最低保証年金は被扶養配偶者がいない場合に月657.6ユーロ=約85000円(約103万円/年)、いる場合に月811.4ユーロ=約105000円(約127万円/年)。1年で14回支給。年金給付の最大額は月2617.53ユーロ=約34万円(約408万円)。
子のいる寡婦には月760.7ユーロ=約99000円(約119万円/年)の最低保証年金あり。


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キャリアの変動への対応

・早期受給開始の場合

非自発的失業者は33年の拠出を条件に4年前から可能、自発的は35年を条件に2年前から可能。
拠出期間に応じて、1四半期ごとに1.5~2.0%(年6.0~8.0%)減額。

日本は現状で月0.4%(年4.8%)ですのでスペインは減額率が大きいです。
「部分的な受給開始」という仕組みの説明もあります。日本でいうところの基礎年金と厚生年金を別々に受け取れるということでしょうか。日本では繰上げの場合は両方同時です。


・受給開始を遅らせる場合

拠出期間15年以上25年未満かつ67歳以降も就労している場合、1年ごとに2%増額。
同25年以上37年未満の場合2.75%、37年以上の場合4%の増額。
2013年3月以降、受給に年齢に達して受給しつつ就労する場合、年金額は50%減額。

日本は一律に8.4%増額です。大きいです。
50%減額はまさか一律なのでしょうか。仮に一律であればこれによって就労しないという選択肢を取る人が多そうです。日本の在職老齢年金よりかなり厳しいのではないでしょうか。


・育児(休業)の場合

子の養育3年間分は老齢年金・永久障害年金・寡婦や孤児に支給される算定基礎に含められる。
2016年時点で子が2人で5%、3人で母親に10%、4人以上で15%の加算あり。

これって日本でいうところの寡夫には出ないということなのかもしれません。日本では2014年度以降は寡夫も遺族基礎年金は対象になりました。
また、加算も母親だけが対象の書き方が印象深いです。日本だけじゃないんですよね。


・失業の場合

失業給付は過去6年間の拠出日数によって4ヶ月~2年が設定。55歳未満は年金クレジットなし。55歳以上は政府が拠出。


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個人所得税と社会保険料

・年金受給者への課税

課税対象。


・年金所得への課税

特別な優遇措置なしと書かれていますが、65歳超は老年者控除、75歳超は控除額が増えるとあります。これは優遇措置ではないのでしょうか。


・年金受給者に賦課される社会保険料

賦課なし。


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年金制度モデル化の結果:スペイン
・2061年に65歳から受給開始

グラフの形はドイツインドと同じです。
平均の1.7倍あたりでずばっと止まります。傾斜も大きいです。平均所得の半分~1.7倍あたりまでの所得代替率が一定ということで再分配の機能は無いと感じられます。

資力審査付きの最低額保証制度と説明がありますが、グラフを見る限りにおいてその情報は加味されておらず純粋に上限ありの所得比例です。
グラフに統一感がないと感じてしまうのは各国の制度を単純に比較することは相当に難易度の高いことなのだろうと推察します。


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繰り返し何度も書いていますが、男女による差というのは日本特有のものではないということです。しかもその違いは単に平均寿命の違いということでもありません。

 

次回、図表でみる世界の年金2019【第10章19/44】ポルトガルです。


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