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”そのとき、日本人は何人養える?”読みました


”そのとき、日本人は何人養える? ~食料安全保障から考える社会の仕組み~”(2022年8月20日 第1版発行)読みました。

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著者は農学博士の篠原 信(まこと)さん。ツイッターはこちら
ツイッターで流れてきた投稿から興味を持ち手に取りました。単に個人の興味で買ったのでブログで感想を書く予定は当初なかったのですが、経済・金融にも関係する内容でしたので勝手ながら記事にさせてもらいました。

いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに
■おわりに

・農業だけに力を入れると、国民は貧しくなるという不可思議な経済現象(中略)食糧問題の解決は、食料をたくさん作ることでも、みなが農家になることでもない。非農業の産業が元気で、農業も元気だ、という条件が必要 p5

・近現代に入り、人類は何度となく、「これさえ解決すればすべてがパラダイスに!」といったうたい文句に踊らされ、その単純思考に無視される領域では、生きている人たちが追い詰められ、しばしば殺されるという悲劇が起きた p181


経済と社会保障は表裏一体・一蓮托生です。「おわりに」からの引用はこの視点で取り上げています。とにかく世の中の仕組みで簡単に1つ解決すればすべてうまく済む話なんて存在しません。
身近な話でいえば、何か1つの金融商品を契約すればすべて解決なんてことは起こりえません。自分の専門外になると、単純すぎる思考になってしまうのは本当に危険だと思います。もちろんこれは自戒を込めて書いています。


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■第1章 日本は何人養える?
■第2章 飢餓はなぜ起きる?

・アダム・スミスが指摘したように、「食糧」が安い国は経済的に豊かだといえる(中略)安値を維持するためヨーロッパやアメリカなどでは、事実上の輸出補助金まで出している p44
・食品ロスをゼロにするのは、安全余裕をなくすこと。これは、工学的には非常に危険な発想(中略)安全余裕のないシステムは、少しでも不具合が起きると破綻してしまう p50

■第3章 大規模農業はすべてを解決するのか?
■第4章 どうして石油が食糧生産に関係するのか?

・日本に限ったことではない。非農業の産業が元気な先進国は農業GDPも大きくなる p73
・「命にかかわる」食糧が安いということは、その国が豊かである証拠 p77


めちゃめちゃ興味深く読みました。当然ながら食糧や農業について私は門外漢ですし素人です。
間違いなく視野が広がりました。人は食べないと生きていけません。食糧・農作物の背景と関連する世界は多くの人が知っておくべきです。2~4章は特にお勧めです。


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■第5章 混迷する世界と食料安全保障

・(第二次世界大戦後)ケインズ経済学が画期的だったのは、「生産」ではなく「消費」(需要) に経済学の軸足を置いたこと(中略)給料をしっかり払うことで労働者を「消費者」にすることに軸足を置いた p141

・先進諸国では(中略)人間が生きていくために必要な商品やサービスは十分供給されるようになった(中略)エンターテイメントという「不自然」の追加で消費を刺激してきたのが、先進国経済 p169


食糧安全保障とは経済の話だと理解しました。社会保障の1つと言っても良いのかもしれません。困ったときに助けてくれるのが社会保障、食べることができない状況は困ったときです。

お金が社会を循環することが大事です。食糧が安価に出回っている社会は他の商品・サービス・産業が盛んであることの証で、より良い社会のベースとなるものと言えるでしょう。
話は外れますが、人口の減っていく日本では(食糧以外の)商品が多く売れる社会ではありません。ベーシック・サービス(対人社会サービス)には伸びしろがあります。社会保障の給付と負担の話なので、本からは外れますから過去記事をぜひご参照ください。

<過去参照記事>
”消費低迷と日本経済”読みました
社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~【第4章】対人社会サービス
人口減少社会での社会保障のあるべき姿【第6章】灌漑施設としての再分配政策


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この本で残念なのは第1章です。著者がおそらく得意でない分野の国債・金融資産・外貨準備などの取り扱いが非常に雑です。1つひとつにつっこみを書くのはこの記事の本筋ではありませんので、とにかく言えることは次の順で読んでほしいということです。

はじめに

おわりに

第2章~第5章

この順です。第1章は読まなくて問題ありません。すみません。

 

一人ひとり(自分自身)が自分の仕事をがんばって、家族を大事にして、手の届く範囲のことをたいせつにして、デマや反科学にまどわされることなく、何事にも普通にお金を使うことがより良い社会につながり、食料安全保障の一端にもなってると思えました。何てことない締めですみません。

長文をお読みくださり、ありがとうございました。


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