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図表でみる世界の年金 2019年版【第10章10/44】フィンランド


図表でみる世界の年金OECD/G20インディケータ(2019年版) 2021年11月12日初版第1刷発行 を読みました。

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他国の状況を知りたい目的で購入しましたので第10章「図表でみる世界の年金2019:国別プロフィール」から国別で紹介しています。全44か国あります。

前回の記事はこちら → 図表でみる世界の年金 2019年版【第10章9/44】ノルウェー
10か国目はフィンランドです。

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■フィンランド p283-288

65歳超人口が現役世代人口の46.2%に達する日本の公的年金給付費 対GDP比は10.2%。
65歳超人口が現役世代人口の40.1%のフィンランドは公的年金給付費 対GDP比11.4%。

平均寿命は日本(84.0歳)より約2.5歳短い81.6歳です。
公的年金給付費の対GDP比が日本を上回る国は今回のフィンランドが初めてです。

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受給要件

所得比例年金
 17歳から70歳までの所得に基づいて付与。所得の上限額設定なし。

国営年金 所得審査あり
・国民年金
 成人到達後40年間の居住要件。40年間で65歳から満額支給。短い場合は比例減額。
・保証年金
 2011年から実施。国民年金または所得比例年金の老齢か障害の給付を受けるものが対象で、受給額の全額が減額。居住要件はあるが居住が短くても減額なし。

所得比例年金は日本でいうところの厚生年金に近く、国民年金と保証年金は同じく国民年金(基礎年金)と生活保護に近い印象を持ちました。


年金額の算定方法

・所得比例制度
複数の制度があり、全被用者の約65%の加入するTyELは民間部門労働者に適用。過去の日本でいうところの共済年金など複数の制度ということろでしょうか。

2017年の決定で2026年以降、年金給付乗率はすべての年齢において年単位所得額の1.5%。
過去期間の所得額は所得の伸び80%、物価の伸び20%で改定。受給開始後は所得の伸び20%、物価の伸び80%で改定。

2010年以降、新たに支給開始の水準は2009年以降の平均余命の変動を考慮して調整。2018年に20歳で働き始める人は1947年生まれと比較して62歳以降の平均余命は6.5歳伸びると予想されており、月額13.2%の減額。


・基礎的制度(国民年金)
2019年の単身者の満額は628.85ユーロ(1ユーロ=130円として)=約82000円(おそらく月額)。


・特定階層向け制度(保証年金)
国民年金と所得比例年金の合計が月額775.27ユーロ=約10万円を下回る場合に給付。単身者も配偶者がいる場合も同じ。他の年金を受給している場合は同額が減額。


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キャリアの変動への対応

子ども家庭養育手当の受給期間と学生の期間は特定の固定された賃金額が用いられる。

・早期受給開始の場合
所得比例年金では61歳の時点で年金の25%または50%を受給可能。月あたり0.4%減額。
国民年金は1962年以降生まれは65歳より前に受け取り不可。


・受給開始を遅らせる場合
所得比例年金は月あたり増額率0.4%。国民年金は同0.6%。


・育児(休業)の場合
2005年以降、妊娠手当・療育手当・両親手当の受給期間は賃金額の1.17倍を基に年金額が算定。最大11ヶ月分。
子の養育中、両親どちらかが無収入の場合、平均所得額の1/5に相当する月728.34
ユーロ=約95000円の賃金を得ているものとして算定。子が3歳に達するまでが対象。


・失業の場合
2005年以降、失業給付の基になった賃金額の75%分を基に年金額が算定。対象期間は500日?。


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個人所得税と社会保険料

・年金受給者への課税
特別な年金所得控除が存在。

・年金所得への課税
地方税 控除の上限は9040ユーロ=約118万円。所得が26765ユーロ=約348万円を超えると控除ゼロ。
国税 控除の上限は11560ユーロ=約150万円。所得が41981ユーロ=約546万円を超えると控除ゼロ。
2013年以降、年金所得控除後の年金所得が47000ユーロ=約611万円を超えると超えた部分の5.85%に追加税。

・地方税における勤労所得控除
・国税における勤労所得控除

・年金受給者に賦課される社会保険料
健康保険料率1.53%


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年金制度モデル化の結果:フィンランド
・2064年に68歳から受給開始

保証部分を受け取ったとしても所得比例年金の穴埋めでしかありませんので、日本でいうところの厚生年金のみ(所得に比例して受給額が変わる)で、しかも上限がありません。繰り返しますが、上限がないのはかなり衝撃的です。いわゆる再分配の機能は公的年金で感じられないグラフです。
再分配はすべて税で行われているという位置づけだと読み取りました。


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保証年金で「単身者も配偶者がいる場合も同じ」という表現がわざわざ出てきたのが印象的です。
育休手当では「両親手当」があり「片親手当」は存在するのかが気になります。

今回のフィンランドのように極端なモデル化(図)を見ると、公的年金制度だけの各国比較は無意味に近いのではと改めて感じます。公的年金制度は社会保障の1つです。その国全体の制度を知ったうえでないと良い悪いをはじめとした判断なんてできないです。

 

次回、図表でみる世界の年金2019【第10章11/44】中国です。



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