fc2ブログ

図表でみる世界の年金 2019年版【第10章8/44】スウェーデン


図表でみる世界の年金OECD/G20インディケータ(2019年版) 2021年11月12日初版第1刷発行 を読みました。

220706_01

他国の状況を知りたい目的で購入しましたので第10章「図表でみる世界の年金2019:国別プロフィール」から国別で紹介しています。全44か国あります。

前回の記事はこちら → 図表でみる世界の年金 2019年版【第10章7/44】オーストラリア
8か国目はスウェーデンです。

-----
■スウェーデン p391-397

65歳超人口が現役世代人口の46.2%に達する日本の公的年金給付費 対GDP比は10.2%。
65歳超人口が現役世代人口の27.7%のスウェーデンは公的年金給付費 対GDP比7.2%。
平均寿命は日本(84.0歳)より約1.5歳短い82.6歳です。


---
受給要件

日本の基礎年金に近い保証年金は居住期間で算定され、40年で満額、3年以上で受給権あり。65歳受給開始。
厚生年金と同じような所得比例年金は2026年以降の受給開始は64歳。


年金額の算定方法

保険料は総賃金の93%に対して18.5%(=賃金×17.205%)。
年額19246スウェーデン・クローナ(1スウェーデン・クローナ=12.5円として)=約24万円以上が対象。賃金年額平均の4%超で設定。逆算すると平均賃金は約600万円。504375スウェーデン・クローナ=約630万円が上限。
月2万円以上の賃金で対象となって、ほぼ平均が上限なのですね。興味深いです。


・所得比例制度

日本のマクロ経済スライドに似た「財政均衡機能」がありますが、日本のような毎年0.〇%のようなかわいいものではなく厚生労働省資料によると-4.3%(2011年)や+4.2%(2016年)などもあり、保険料収入・積立金残高という経済の影響を正味で年金額に反映させるという、財政的には安心ですが受給者にとってはかなりのジェットコースターな仕組みではないでしょうか。

他にも「相続利益」という初見の仕組みもありました。「同じ年齢で死亡した者から生存者に対して年金財政が均衡するするような額の配分が行われる」とあり、概念上の個人別勘定との説明もありますので公的な保険というよりもトンチン年金(保険)的な意味合いを感じました。


・基礎的制度(保証年金)

満額は2018年96912スウェーデン・クローナ=約121万円。居住期間算定で所得審査があるので日本の基礎年金ではなく生活保護に近いとも感じます。

単身者で所得比例年金との合計が57336スウェーデン・クローナ(平均所得の13%相当)=約72万円までは保証年金が同額分減額。超えれば48%の減額率。
所得比例年金単独で139800スウェーデン・クローナ=約175万円(同31%相当)を超えると保証年金なし。

2019年の満額は+2400スウェーデン・クローナで合計約124万円に。単身の場合、住宅手当として2018年の最大で月5560スウェーデン・クローナ=約7万円、2019年じゃ月7000スウェーデン・クローナ=約9万円に増額。年24000スウェーデン・クローナ=約30万円までは資力審査の対象外。
住宅手当や資力審査が出てくると生活保護との密接な社会保障であることを感じます。


・拠出建て制度

保険料17.205%のうち2.33%分は積立方式の個人別勘定に拠出。「運用先について幅広い選択肢を有する」とありますので確定拠出年金のような仕組みでしょうか。また、受給時には「投資リスクを避ける形で年金化することもできる」「投資を続けることで、変額年金として受け取ることも可能」とあり、年金保険にも選択肢があるようです。


・準強制加入の職域年金

全被用者の90%以上が加入。大規模な職域年金制度は4つ。


・ITP1

2007年1月以降、1979年以降生まれは25歳から拠出。所得基礎額の7.5倍にあたる468750スウェーデン・クローナ=約586万円までは4.5%、超える部分は30%。運用方法を選択できるが、半分以上は伝統的な年金保険に投資される。
「伝統的な年金保険」って何なのでしょうね。


---
キャリアの変動への対応
・早期受給開始の場合

所得比例年金、保証年金ともになし。


・受給開始を遅らせる場合

所得比例年金は上限なく繰下げ可能。
割増率の記載はありませんでした。


・育児(休業)の場合

4歳以下の子と同居している期間は所得比例年金の保険料は政府負担。

育児休業では両親手当として、年455000スウェーデン・クローナ=約569万円を上限に所得年額の80%を390日間支給。加えて、日180スウェーデン・クローナ=約2300円を90日分(約20万円)を定額給付。
低所得もしくは所得なしの場合は日250スウェーデン・クローナ=約3000円が保証。


・失業の場合

失業後200日までは従前所得の80%、以降300日までは同70%。18歳未満の子を養育する場合は70%を延長150日間
受給額の上限は100日までは日910スウェーデン・クローナ=約11000円、以降は日760スウェーデン・クローナ=約9500円。最低保証額は日365スウェーデン・クローナ=約4600円。

子どもがいる場合の日数延長は良いですね。日本でも取り入れてもらいたいです。


---
個人所得税と社会保険料

65歳以上は税制上の基礎控除額が増額。


・年金所得への課税

年金給付に限った非課税措置なし。


・年金受給者に賦課される社会保険料

就労した場合、生年が1938年より前は賦課なし、1938~1943年の者は10.21%の事業主負担。一般労働者は31.42%。
事業主負担だけ書かれていて従労働者側の負担が書かれていません。


---
年金制度モデル化の結果:スウェーデン
・2061年に65歳から受給開始

これまでの7か国にはない形です。個人所得が多くなっても所得代替率が下がりません。むしろ上がっていきます。
原因は拠出建ての職域年金があるからで、これを含めなければ再分配機能を感じることができます。日本でいうところの確定拠出年金を加える図になってるのって変です。日本でも所得の多い人ほど掛金は高い傾向がありますし、受け取る額は増えやすいです。


-----

インパクトの大きかった用語は育児休業時の「両親手当」です。片親手当はあるのでしょうか。

欧米・北欧は個人主義的な傾向が強い印象がありますけれど、これまで書いてきました通り、いわゆる古き良き家族のあり方で給付を受け取れる仕組みが残っていたりしますので、ものすごく印象が変わります。


ちなみに2018年7月の厚生労働省資料「諸外国の年金制度の動向について」にスウェーデンの記載があります。
p6,10,12,13,16,19,20,21,22,25,31,32あたりです。

 

次回、図表でみる世界の年金2019【第10章9/44】ノルウェーです。



コメント

非公開コメント

トラックバック