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図表でみる世界の年金 2019年版【第10章6/44】カナダ


図表でみる世界の年金OECD/G20インディケータ(2019年版) 2021年11月12日初版第1刷発行 を読みました。

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他国の状況を知りたい目的で購入しましたので第10章「図表でみる世界の年金2019:国別プロフィール」から国別で紹介しています。全44か国あります。

前回の記事はこちら → 図表でみる世界の年金 2019年版【第10章5/44】フランス
6か国目はカナダです。

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■カナダ p257-262

65歳超人口が現役世代人口の46.2%に達する日本の公的年金給付費 対GDP比は10.2%。
65歳超人口が現役世代人口の29.8%のカナダは公的年金給付費 対GDP比4.7%。
平均寿命は日本(84.0歳)より約2歳短い82.2歳です。

公的年金給付費が日本の半分を下回る対GDP比4.7%。

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受給要件

18歳以降に40年以上居住歴がある場合、老後所得補償OAS(Old Age Security)の基礎的部分が満額支給。
10年以上の居住歴があれば、居住年数分(1年未満切り捨て)の分数計算。

保険料納付が要件ではなく、居住歴というのがおもしろいです。


年金額の算定方法
・基礎的制度

2018年の満額は7121.31カナダドル(1カナダドル=90円として)約64万円。
個人の総所得が75910カナダドル=約68万円を超えると、超えた額の15%分が減額。

在職老齢年金のような制度ですが、保険料ではなく所得で判別されるのが興味深いです。


・特定階層向け制度

OAS以外の収入が少ないもしくはゼロの場合、所得審査のある支援給付金(補足所得保証GIS)を受給。
単身者へのGISとOASの最大合計額は17757.63カナダドル=約160万円。3500カナダドル=約32万円までの勤労収入は減額考慮の対象外。


・所得比例制度

保険料拠出期間39年で満額受給。39年より短い場合は年数に応じて比例的に減額。最高支給額は13610カナダドル=約122万円。

所得代替率は2019年25%から目標は33%に設定。7年間にわたって段階的に追加の保険料を導入。2065年には旧制度に比べて最大50%の受給額増加。
年間所得3500カナダドル=約32万円未満には保険料の拠出義務なし。上限は55900カナダドル=約503万円から82700カナダドル=約744万円になる見込み。

日本でいうところの標準報酬月額の上限が現在進行形で大幅に見直されているというイメージで受け取りました。


・任意加入の私的年金

政府から助成を受けられる退職後向けの貯蓄手段、登録退職貯蓄プラン RRSP は銀行・保険会社が商品を提供。拠出限度額は年収の18%または26230カナダドル=約236万円のいずれか低い額。年収の18%が約235万円を上回るのは約1312万円。最大とはいえ月20万円近くの拠出額に相当します。拠出限度年齢も71歳。巨額すぎないです?
と思ったら、途中でも引き出せます。自己の教育費または最初の住宅購入資金に充てる場合は引き出せます。これ企業型DCやiDeCoと異なる部分です。ただし、教育費は10年以内、住宅費は15年以内に再入金しないと課税所得とみなされるとありました。ちょっと厳しいですね。


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キャリアの変動への対応
・早期受給開始の場合

所得比例部分は60歳から受給可能。5年分で36%(月あたり0.6%)減額。日本より減額率が高いです。基礎的制度のOASとGISは繰上不可。

日本でいえば基礎年金は繰上不可で、厚生年金は繰上可能。おもしろいですね。


・受給開始を遅らせる場合

70歳繰下げ、OASは最大36%(月あたり0.6%)増額、GISは繰下げも不可。所得比例部分は42%(月あたり0.7%)の増額で、これは日本と同じです。

インフレ率など考えると、日本の繰下げがいかに優れているか意識させられます。


・育児(休業)の場合

7歳未満の子を養育している無収入または低収入の期間は平均所得額の算定期間から除外することが可能。低収入でも年金額が増加する場合は加えることも可能。


・失業の場合

失業に限らず、疾病・就学・介護などの期間は、保険料拠出期間全体の最大17%(40年の場合は6年10ヶ月)平均所得額の算定から除外可能。

積み上げ式の日本と、カナダだけでなく抽出型(?)と呼べる各国との違いですよね。


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個人所得税と社会保険料
・年金受給者への課税

65歳以上の総収入35927カナダドル=約323万円以下の場合は、7333カナダドル=約66万円×15%=約10万円の追加税額控除あり。


・年金所得への課税

所得税は個人単位だが、夫婦ともに年金受給者で条件を満たす場合、私的年金からの収入の50%以内を配偶者や事実婚のパートナーに配分することができる。

これめちゃめちゃ興味深いです。日本だと夫40年大手企業勤め上げ、妻専業主婦の期間が長い(もしくは多くない収入での)年金額だった場合、夫は企業年金(私的年金)もあったりして所得が大きくなりがちですが、これを配分できれば…という内容をカナダ国民は自分自身で計算・検討できるのでしょうか。専門の公的な相談窓口があったりするのでしょうか。興味深いです。


・年金受給者に賦課される社会保険料

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年金制度モデル化の結果:カナダ
・2061年に65歳から受給開始

非常に少額(低い給付水準)の基礎的な部分と、平均所得の1.2倍あたりから一定となる所得比例部分。
平均所得の半分など低所得者には高い所得代替率(約50%)、2倍などの高所得者には低い所得代替率(25%未満)
密接な関係にある隣国の米国とシルエットは似ています。でも、構成は違います。


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対GDP比の公的年金給付費の低さと私的年金の手厚さは英国をイメージさせます。でも、公的年金の構成は英国とはまったく異なります。

まだたったの6か国ですけれど、事実婚を含むとはいえ夫婦・パートナーという家族構成に対してさまざまに優遇の仕組みを感じます。家族的な仕組みは日本的で各国は個人的な仕組みの強い印象を勝手に持っていましたが、そんなことないのですね。まだまだ38か国を見ていくとはいえ、知らないことが多いです。
このシリーズ始めて良かったです。

 

次回、図表でみる世界の年金2019【第10章7/44】オーストラリアです。


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