2022年7月29日(金)に令和3年(2021年)の
簡易生命表が厚生労働省より発表されました。

多く報道されるのは「平均寿命」です。0歳で生まれた赤ちゃんが平均して何年生きるのかをデータ化したものが平均寿命であり、言い替えると平均寿命とは0歳における「平均余命」です。
平均寿命
女性 87.74歳
男性 81.64歳
令和2年(2020年)に比べて、いずれも-0.17歳です。
この記録を確認しているのはこの10年ほどですが、初めてマイナスです。
「死因別死亡確率の推移」も資料があります。
死亡確率が90歳で伸びているのは(微増)心疾患・腎不全・糖尿病、そして大きく伸びているのは老衰と新型コロナウイルスでした。
他は減ってます。特に減ってるのは肺炎とがんです。
コロナ禍となり肺炎は一貫して減ってるのに、新型コロナウイルスは増えてる怖さ。改めて厄介な感染症です。
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「平均余命」を見てみましょう。
■女性・60歳
2018年 29.04 → 89歳0ヶ月
2019年 29.17 → 89歳2ヶ月 0.45%増
2020年 29.46 → 89歳6ヶ月 1.0%増
2021年 29.28 → 89歳3ヶ月 0.61%減
■女性・70歳
2018年 20.10 → 90歳1ヶ月
2019年 20.21 → 90歳3ヶ月 0.55%増
2020年 20.49 → 90歳6ヶ月 1.39%増
2021年 20.31 → 90歳4ヶ月 0.88%減
■女性・80歳
2018年 11.91 → 91歳11ヶ月
2019年 12.01 → 92歳0ヶ月 0.84%増
2020年 12.28 → 92歳3ヶ月 2.25%増
2021年 12.12 → 92歳1ヶ月 1.30%減
■女性・90歳
2018年 5.66 → 95歳8ヶ月
2019年 5.71 → 95歳9ヶ月 0.88%増
2020年 5.92 → 95歳11ヶ月 3.68%増
2021年 5.75 → 95歳9ヶ月 2.87%減
■男性・60歳
2018年 23.84 → 83歳10ヶ月
2019年 23.97 → 84歳0ヶ月 0.55%増
2020年 24.21 → 84歳3ヶ月 1.0%増
2021年 24.02 → 84歳0ヶ月 0.79%減
■男性・70歳
2018年 15.84 → 85歳10ヶ月
2019年 15.96 → 86歳0ヶ月 0.76%増
2020年 16.18 → 86歳2ヶ月 1.38%増
2021年 15.96 → 86歳0ヶ月 1.36%減
■男性・80歳
2018年 9.06 → 89歳1ヶ月
2019年 9.18 → 89歳2ヶ月 1.32%増
2020年 9.42 → 89歳5ヶ月 2.61%増
2021年 9.22 → 89歳3ヶ月 2.12%減
■男性・90歳
2018年 4.33 → 94歳4ヶ月
2019年 4.41 → 94歳5ヶ月 1.85%増
2020年 4.59 → 94歳7ヶ月 4.08%増
2021年 4.38 → 94歳5ヶ月 4.58%減
おわかりいただけますでしょうか。2020年は感染対策により大幅な平均余命増がありました。
2021年は減少ですが、男性90歳以外は前年の増え方よりも減ってません。おおよそ2年前に戻ったと言えるのではないでしょうか。
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平均寿命では女性と男性で6.10歳差(2020年6.10歳差、2019年6.04歳差、2018年6.07歳差)がありますが、次のように平均余命の差はどんどん縮まります。
・60歳 5.26歳差(5.25歳差・5.20歳差)
・70歳 4.35歳差(4.31歳差・4.25歳差)
・80歳 2.90歳差(2.86歳差・2.83歳差)
・90歳 1.37歳差(1.33歳差・1.30歳差)
「長生きをすればするほどに男性も女性と同じように長生きする」と読み取れますが、男女差は少しずつ広がり続けています。
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「生存割合」を見てみましょう。
女性
・60歳 96.167(96.163・96.145)
・70歳 92.156(92.183・92.057)
・80歳 81.947(82.156・81.836)
・90歳 51.963(52.482・51.123)
・95歳 27.141(28.349・26.693)
・100歳 7.510( 8.544・ 7.373)
男性
・60歳 93.275(93.248・93.233)
・70歳 84.309(84.257・84.071)
・80歳 64.183(64.567・64.189)
・90歳 27.546(28.363・27.177)
・95歳 10.138(11.125・10.118)
・100歳 1.818( 2.297・ 1.859)
これも同じくカッコ内は2020年と2019年です。
伸びているのは60歳前後未満。
2分の1になるのは女性が90~91歳、男性が84~85歳。
10分の1になるのは女性が99~100歳、男性が95~96歳。
大枠は前年と変わりません。
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生存割合の数値を逆から読み取ってみます。
・100人に1人がいなくなる
女性39~40歳 男性31~32歳
・10人に1人がいなくなる
女性73~74歳 男性64~65歳
・2人に1人がいなくなる
女性90~91歳 男性84~85歳
・10人に1人になる
女性99~100歳 男性95~96歳
・100人に1人になる
女性104~105歳 男性101~102歳
これを確率で読み替えてみます。
女性
40歳までに亡くなってしまう=105歳くらいまで生きる
70歳すぎまでに亡くなってしまう=100歳くらいまで生きる
男性
30歳すぎまでに亡くなってしまう=100歳超えるまで生きる
65歳までに亡くなってしまう=95歳くらいまで生きる
このように言えます。
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将来の不安をあおる目的ではなく、将来のことばかりをいつも考えておく必要もなく、でも一度はさまざまに考えておきたいものだと専門家の端くれとして思う日々です。
センセーショナルに報じられる話題に惑わされることなく適切に数字を知り、自分や家族のことに当てはめて考えることが大事だと思いますし、そのお手伝いをしていくのが
京極・出町FP相談の役割だと考えています。
<過去参照記事>
2020年の平均寿命・平均余命・生存割合
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