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図表でみる世界の年金 2019年版【第10章5/44】フランス


図表でみる世界の年金OECD/G20インディケータ(2019年版) 2021年11月12日初版第1刷発行 を読みました。

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他国の状況を知りたい目的で購入しましたので第10章「図表でみる世界の年金2019:国別プロフィール」から国別で紹介しています。全44か国あります。

前回の記事はこちら → 図表でみる世界の年金 2019年版【第10章4/44】イギリス
5か国目はフランスです。

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■フランス p289-294

65歳超人口が現役世代人口の46.2%に達する日本の公的年金給付費 対GDP比は10.2%。
65歳超人口が現役世代人口の37.3%のフランスは公的年金給付費 対GDP比13.9%。
平均寿命は日本(84.0歳)より約1歳半短い82.4歳です。


公的年金給付費が日本を大きく上回る対GDP比13.9%。

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受給要件

最低拠出期間(1957年生まれで41.5年)を満たし、67歳に達すれば満額受給。拠出期間の下限は1973年以降生まれで172四半期(43年)への引き上げが2014年の改革で決定。

年金額の算定方法
・所得比例制度

全期間就労した場合で所得代替率50%。
算定基礎となる所得額は「現役期間のうち最も所得が高かった25年間の平均所得額」を用いる。所得の上限は2019年で40524ユーロ(1ユーロ=130円として)約527万円、最大1230万円の日本と比べて低く感じます。

・拠出制の最低額保証制度(minimum contributif)

最低額保証は7638.78ユーロなので同じく約99万円、120四半期(30年)以上就労した場合は8347.09ユーロなので同じく約109万円。日本でいうところの基礎年金の満額+αのイメージです。

・強制加入の職域制度

厚生年金にあたると思われる所得額を対象にした公的年金の保険料は、上限額(40524ユーロ)までは6.2%=約33万円、上限額から上限額の8倍までは17%=約627万円。
日本における基礎年金部分にも所得比例されている制度で、プラスとしてこの職域制度が混在していてややこしく感じてしまいます。

・特定階層向け最低額保証制度(ASPA)

単身者 10418.40ユーロ同じく約135万円
夫婦 16174.59ユーロ同じく約210万円

資力審査があって住宅手当の支給もあるということで生活保護に近い制度なのだと思います。


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キャリアの変動への対応
・早期受給開始の場合

日本の基礎年金にあたる部分は60歳から可能。ただし、20歳より前から就労している場合。
日本の厚生年金にあたる部分は最大10年繰上可能で57%減額。5年までの場合「掛金拠出歴に欠けた年数」によっては減額が緩和される条件があり、なかなか複雑です。

・受給開始を遅らせる場合

満額受給者の場合、繰下げ1年で5%(四半期で1.25%)の増額。

・育児(休業)の場合

16歳に達するまでの間に9年間以上養育した子が3人以上いる場合、両親ともに給付建て年金の支給額が10%増額。
子がいる場合に所得税の計算が大きく変わる(減る)フランスならではの手厚さなのかもしれません。

・失業の場合

非自発的失業の場合、1年あたり4四半期を上限として50日ごとに1四半期分の保険料拠出期間とみなされる。


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個人所得税と社会保険料
・年金受給者への課税
・年金所得への課税

10%の特別控除、下限379ユーロ=約4.9万円、世帯につき3715ユーロ=約48万円の上限あり。ASPAは所得税免除(=非課税?)

・年金受給者に賦課される社会保険料

CSG(一般社会拠出金)
CRDS(社会保障債務償還のための拠出金)
CASA

第一基準 単身:約1030ユーロ=約13万円、2人世帯:約1580ユーロ=約21万円
 3種とも免除
第二基準 単身:約1350ユーロ=約18万円、2人世帯:約2070ユーロ=約27万円
 3.8%のCSG・0.5%のCRDS適用
第三基準 単身:約2090ユーロ=約27万円、2人世帯:約3210ユーロ=約42万円
 6.6%のCSG・0.5%のCRDS・0.3%のCASA適用
第三基準を上回る場合
 8.3%のCSG・0.5%のCRDS・0.3%のCASA適用

職域年金の給付には1%の疾病社会保険料適用

これ何の補足も書かれてないのですが、月額だと読み取っています。年金額なので基本的に年額で書かれている金額情報が原則だと思っていますが、何の説明もなく月額になるのちょっとひっかかります。


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年金制度モデル化の結果:フランス
・2062年に66歳から受給開始

相対的年金給付水準のグラフの形は、基礎年金部分(所得比例)でドイツ(平均の1.5倍強あたり)のように1.0倍までは緩やかに増え、その後一定です。
職域年金部分を含む所得代替率は低所得者(平均の半分)で所得代替率60%、平均所得の2倍を得る人で50%もあり、これが公的年金給付費の対GDP比13.9%につながっているのではないでしょうか。


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ここまで大きな対GDP比13.9%は、過剰な再分配機能を有しているのかと感じました。渡しすぎ?
所得比例の保険料率の記載がありませんでしたが、かなり高かったりするのでしょうか。税の投入割合も気になります。
というように、突き詰めると情報量が足りません。でも、このあたりわかっている人(専門家)が読む前提なのでしょうし、大雑把な各国比較でも違いがあって興味深いのは間違いありません。


ちなみに2018年7月の厚生労働省資料「諸外国の年金制度の動向について」にフランスの記載があります。
p6,10,16,19,23,25,30,32あたりです。

 

次回、図表でみる世界の年金2019【第10章6/44】カナダです。


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