”知らないと損する年金の真実 ~日本人の9割がしている勘違い~”(2021年10月25日 初刷発行)を読みました。

著者はお世話になっている
株式会社オフィス・リベルタス代表取締役の大江英樹さん。
今回は結論を先に書きます。
この本は大江さんがたくさん書いてこられた著書のなかで、個人的大絶賛の第1冊目「
自分で年金をつくる最高の方法~確定拠出年金の運用【完全マニュアル】」に匹敵する、もしくはこれを超えるお勧めしたい内容です。超オススメです。
いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。
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■はじめに
■おわりに
・公的年金にまつわる事実やエビデンスを重ねて解説していくことによって、①公的年金に対する正しい知識を持っていただく ②年金不安を煽る人たちに惑わされず、自分の頭で考えられるようにする ということを目的にしています p6
・「年金なんてあてにならないから」と言われて保険料を払ってこなかった自営業者の人たちや、よくわからないままに勧められて投資で失敗したサラリーマンの人たちが不幸な老後を送ることがないようにしたいと思うのです p269
将来のお金のことを考えるうえで根拠になるのは公的年金保険の老齢年金しかありません。この情報なくして金融商品や不動産の購入検討なんて進められるわけはありません。本(著者の主張)の前提、超大事です。
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■第1章 年金の本質
・年金の不安を煽る三悪人 p23~
・年金不安の理由は年金を知らないことではない p28~
・親の心がけ、寿命、そして兄弟の数といった自分の力ではどうにもならないことによって社会的な格差が生じるということがあってはなりません。そのための社会保険制度であり、公的年金なのです p44
・年金保険料を払うということは何を意味するかというと、「将来、生活していく上で必要となるモノやサービスを手に入れる権利を確保すること」 p51
公的な保険(保障)の仕組みであることが丁寧に説明されています。さすが大江さん、ほんま読みやすい文章での解説です。
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■第2章 年金に対する誤解を解く -初級編-
■第3章 年金に対する誤解を解く -中・上級編-
・単に年齢で切り分けて、その比率を比べるのではなく「働いている人が働いていない人を養っている割合がどれくらいか」で考えるべき p103
ここで紹介として登場するのが権丈先生の「
ちょっと気になる社会保障」です。
今回の大江さんの本は最高です。でもやはり、本当にお勧めしたいのは権丈先生の本です。ただ、権丈先生の本は難易度が上がります。気軽に手に取りやすいのは間違いなく大江さんの今回の本です。
公的年金保険をこよなく愛する者として、今回の本はとてもありがたいです。今までの権丈先生の本は「難しいけど…お勧めです」としていましたが、枕詞がいらないです。大江さん最高です。
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■第4章 知っておくべき年金の歴史
・マクロ経済スライドは厳格に適用すべき p156~
・公的年金の大切な役割「所得再分配機能」 p159~
・「専業主婦はずるい!」という誤解 p164~
■第5章 年金改革で変わること
・負担できない会社に存在意義はない p180~
このあたりは難易度が上がります。それでも権丈先生の本の内容がかみ砕かれていますので、やっぱり読みやすいです。大江さん、ほんま良い本を書いてくださってありがとうございます!
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■第6章 公的年金をうまく活用する
■第7章 これからの年金との向き合い方
・年金の受け取り方で注意しておくべきこと(中略)上手に活用することが必要です。そういったことについてはFPの方が詳しいかと思います p200
この2つの章は公的年金保険の解説も含めたうえでのケーススタディなども入っており、相談を受けている立場としては取り扱いの悩ましい内容が含まれています。
シミュレーション例を挙げるには条件を作る必要があります。ばっちり当てはまる人がどのくらいいるかわかりませんが、「自分に近いパターンを参考としながら自分で考えてみてください」(p227)をしっかりと踏まえたうえで読んでいただきたいです。
そして最後の引用部に「FP」が登場します。
恥ずかしながら私はFP資格保有者のネットワークが弱いもので実際にはわかりませんが、日々相談をお受けしている実感としてまだまだ公的年金保険に詳しいFPは希少ではないかと感じています。
権丈先生の本は専門家の間で多く読まれたのは間違いありませんし、大江さんの(確定拠出年金の専門家である奥さま加代さんを含む)ファンにFP資格保有者が多いのも間違いありませんから、例えば10年前などと比べれば公的年金保険に詳しいFPは増えているでしょう。それでもFPとひとくくりにできるとは思えないので、その点のみご注意をお願いしたいです。
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今回の本の中で「読んでおきたい本」(p258~)として紹介されているのは次の通りです。リンクは私の感想記事です。
【1】
ちょっと気になる社会保障 【2】
人生100年時代の年金戦略 【3】 年金不安の正体 → すみません、読みましたが感想書けていません。
【4】
35歳から創る自分の年金 個人的オススメ度合いを示しておきます。
今回の本と【1】 >>>>>>>>>> 【2】 > 【4】 > 【3】
関係者の皆さま、ご理解のうえご容赦くださいませm(_ _)m
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本を手に取る前に大江さんの文章を1つお勧めするなら直近のネット記事です。
皆さま、超オススメの本です。
今回の本を読んで大枠を理解いただければ一般には十分です。もっと深く体系的にと感じられた場合は権丈先生の本をお勧めします。でも、権丈先生の本が必要なのは専門家の域かもしれません。
一般生活者にとって公的年金保険の仕組みを知るための教科書としていただいて良い本です。この本を多くの人が読むことでテレビ・新聞・雑誌から発せられるあおられた情報を聞き流すことができるようになりますし、年金不安をあおる営業トークにも惑わされる機会も減るでしょう。超大事です。
繰り返します。皆さま、超オススメの本です。
長文をお読みくださり、ありがとうございました。
(余計なことをもう1つ書いておくと、帯の「1円でも多く受け取るための」は余分です。これは間違いなく大江さんの手を離れたところで出版社の担当さんが売るために加えた文言でしょう。でもこういうのがなくてもたくさんの人に読んでもらいたいです)
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