”【新版】生命保険は「入るほど損」?! ~「検討に値する保険」は3本だけ?!~”(2021年4月16日 2版1刷)を読みました。

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著者は
保険相談室 代表の後田亨さん。
まずはじめに書いておきます。後田さんとは友人(すみません!)ですので、ひいき目があります。ご承知おきのうえ以降をお読みください。
2015年の第1版の新版(第2版)です。第1版の感想記事はこちらです。
”生命保険は「入るほど損」?!”読みました いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。
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■まえがき
■あとがき
・営業部長は、難解で高額な保険が売れる状況を「よくわかってない奴(営業職員)がもっとわかってない奴(お客様)に売る。面白いだろう?」と笑っていたのです p5
・本書に書いたことは、著者の予見に適う(かなう)情報等に偏っている可能性もあります。読者の皆様には、ぜひ、おおいに疑ってみてほしいと思います p263
各方面の方々の生々しい実際の発言が何度も登場します。これこそが保険会社に勤務しておられた期間が十数年、乗合代理店にも数年おられたからです。私は保険会社に直接勤めたことはありません。とても納得性の高い内容です。
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■序章 「保険の基本」
■第1章 「医療保険」の損得
・「保険の活用は必要最小限にとどめるのが望ましい」とさまざまな媒体で繰り返し、発言しているせいか、「お客様をリスクにさらして平気なあなたに、保険を語る資格はない」などと、代理店の人に言われることもあります p59
私も常々書いています。「生命保険を含む金融商品の活用は必要最小限にしたいものです」と。
いわゆる販売を主たる仕事にしている方々は「最大限に活用する」方針で提案してこられます。それが悪いのではなく、両者の比較や折衷案を探ることもぜひ選択肢に加えてほしいというのが私の主張です。
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■第2章 「がん保険」の損得
■第3章 「貯蓄性」がある保険の損得
■第4章 保険会社は「儲け過ぎ」! ?
■第5章 セールストーク、キャッチコピーの突っ込みどころ
・ある保険会社の管理部門の方がおっしゃっていた「生命保険料控除の制度は、保険会社への形を変えた助成金」という評価が的確だと感じるのです p139
・複数の保険会社で、ライフプランナーの育成に関わってきた人は「経済や税務などは、たいした知識は仕込んでいません。教えるほうも保険が絡むことくらいしか知らないから無理ですよ」と言います。「保険販売のプロ」に多くを求めても仕方がないのです p144
提案してくれる担当さんの多くは悪意なんてお持ちじゃないです。仕事をしておられるんです。だからこそ提案を受ける側が自ら他の選択肢を得るよう動く必要があるんです。
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■第6章 「おいしい客」になっていませんか?
■第7章 「老後不安」にどう備える?
・「平均」は無視、「自分の年金受給額」を確認 p172~
後田さん思い切られましたね。まさか自分自身のねんきん定期便の内容(受給見込額)を公開してしまわれるとは…
p174図表29は「*」の注釈を読者がどこまで理解できるのかがポイントです。老齢基礎年金の繰下げ受給のみ表になっています。できれば繰下げをしない例も比較対象で載せてもらいたいところですが、これは公的年金保険の本ではありません。
また、後半に書いておられますが、配偶者の年金額もこれに加わります。読者の皆様におかれましては「自分や家族の年金受給額」を実際に確認することが大事なので、ぜひとも確認をお願いしたいです。
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■第8章 「(余計な)損をしない」保険活用法(実践編)
・有料相談を検討する際、気をつけてほしいのは「独立系」と呼ばれるFPです(中略)紛らわしいので、私は「販売系」FPと呼んでいます p203
・「誰よりも得する保険に入ろう」と意気込むより「とにかくダメな保険に入らないことが大事」入る保険については上位に評価されていればトップでなくてもいいと鷹揚(おうよう)に構えていただきたいと思います p207
2つめの引用、私も常々そうだと思います。仮に今、最も優れている(もしくは安価な)生命保険に加入できたとします。でも、これが来年もそれ以降もずっと最も優れているかはわかりません。そしてその比較もまた非常に難解です。
例えば投資信託でも信託報酬(運用管理費用)の頂上決戦のような手数料競争が知る人ぞ知るかもしれませんがこの数年続いており、そのたびに乗換を悩んでいる人を(わずかながら)SNSで目にします。
専門家がこんなことを言っては良くないのかもしれませんが、おおよそで十分なんです。おおよそトップを選べていれば十分に得できています(損になっていません)。違いは長い人生において誤差の範囲です。他のことに時間を使いましょう。
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■第9章 「検討に値する保険」は3本だけ?
・図表33をご覧ください(年金アドバイザーの資格を持つ知人のFPに作成してもらいました) p227
盛大にお勧めしたいのは今回もここです。なぜなら私がデータ提供した遺族年金に関する資料が見開き2ページを独占しているからです。前回は主要な2パターンのみでしたが、今回は全パターン掲載されました。
・男性会社員(厚生年金の被保険者)
・女性会社員(厚生年金の被保険者)
・男性自営業者(国民年金の被保険者)
・女性自営業者(国民年金の被保険者)
・母子家庭・父子家庭(厚生年金の被保険者)
・母子家庭・父子家庭(国民年金の被保険者)
いろいろと注釈も書いていますが、すべてを網羅しようとするともっと注釈が増えます。あくまでもイメージとしていただき、詳細は年金事務所や公的年金保険に詳しいファイナンシャルプランナー(FP)や社会保険労務士に確認をお勧めします。
なお、本文中やあとがきには私の名前は出さないようにお願いしています。書いて欲しくないのにblogで書いているのはなぜ?となるかと思いますが、このブログを読んでくださっているレアな方々は問題ありません。私はローカルな立場ですので、まれに過激な批判も受けておられる後田さんに関連する情報に直接的に名前が載るのは避けたいんです。皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
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■終章 保険を良くする「たった1つの質問」
・保険会社や担当者ばかりが悪いのか? p250~
何が最適かなんて将来になってみないとわかりません。わからないからこそ、わからないまま加入したり加入し続けたりするのだと思います。
そういった方々がゼロになることはあり得ないです。でも、少しでも減ってもらいたいですし、後田さんや私のような存在が少しでもお役に立てれば幸せです。
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なお、後田さんと私は完全に同じスタンスではありません。なので私に相談してから後田さんに相談してくださっても良いですし、後田さんに相談してから私に相談くださっても良いです。とにかく世間で大多数を占める保険営業の方々とは明らかにスタンスが違うという意味合いにおいては同じスタンスと言えるかなとは思います。
後田さんとは年に数回、メールで意見交換しています。本当は2~3年に1回くらいお会いしてお酒を飲みながらお話ししたいところですが、こんな状況になってしまい長らくお会いできていません。まあ、会っても仕事の話は1~2割くらいで残りは仕事以外の話で笑っているだけですけれど(笑)
長文をお読みくださり、ありがとうございました。
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