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公的年金制度の仕組み・手続き等【19】低年金化を防ぐための追納と言うのは簡単だけれど


 一般社団法人 企業年金・個人年金教育者協会という団体のwebサイトに公的年金保険研究会というページがあり、すばらしい内容ですので1つずつご紹介しています。

 公的年金保険研究会

 前回はこちら → 公的年金制度の仕組み・手続き等【18】学生さん、未納は絶対あかん

 第14回目から「公的年金制度の仕組み・手続き等」編です。
 第19回目もいつも通りいくつか抜粋して紹介しコメントを書きます。

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■公的年金制度の仕組み・手続き等
19.保険料免除・(若年者)納付猶予・学生納付特例の違い

・国民皆年金を掲げ、国庫負担を基礎年金財源に投入している公的年金制度ゆえに実現 可能な仕組み p1

・産前産後期間に該当する者は、申請することにより保険料の全額が免除され、産前産後期間の老齢基礎年金は満額保障される。 p3

・保険料免除や納付猶予・学生納付特例を利用せず、保険料を未納にしている者は、納付義務に違反しているのみならず、どのような点で本人にとって損をしているのか p5

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 シラバス19はA4サイズで5ページ分です。

 会社員・公務員などお勤めの人(国民年金の第2号被保険者)と第2号に扶養されている配偶者(国民年金の第3号被保険者)以外、国民年金の第1号被保険者の方々にとって、とても大事な仕組みの解説です。

 この免除・猶予・特例は文章にすると、途端に難易度が上がるように思います。例えばFP資格を学ぼうと思うような人は文章を読んで理解できるレベルが求められますが、一般にはそうではありません。
 日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度「1.保険料免除・納付猶予制度とは」の「手続きをするメリット」一覧表がわかりやすくて良いと思っています。

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 誤りを指摘します。
 

p1 国民年金の納付猶予・学生納付特例は、世帯主や配偶者の所得要件がなく、対象者本人の所得要件のみである
p3 納付猶予・学生納付特例のメリットは、所得要件について、本人所得のみで判定 し、世帯主や配偶者の所得要件がない点である。したがって、実家住まいの者や共働きの者であっても、本人の年間所得が一定額以下であれば、納付猶予・学生納付特例を受けることができる


 日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度「1.保険料免除・納付猶予制度とは」の「イ)保険料納付猶予制度とは」をご参照ください。

 納付猶予は「本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合」です。本人の所得要件のみではありません。p4で掲載のある厚生労働省資料にも「本人・配偶者の所得の応じ」と書かれているのに、これは執筆者の思い込みでしょうか。全体を考えると極めて珍しいチェック漏れかと思います。

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 もう1つ引用です。
 

p4-5 年金の減額、低年金化を防ぐためには、保険料免除・納付猶予・学生納付特例を受けてから10年以内に追納を行うことが重要(中略)保険料を納付することが難しい者については、一旦その納付義務を免除したうえで、後から自身の老齢基礎年金額の増額のチャンスがある制度設計 となっている点は、民間保険とは異なる、公的年金保険だからこそできる特徴といえる


 中略以降の文章はその通りです。でも前半は書くのは易く行うは難しです。

 免除や猶予を利用するような低所得の状態(さまざまな事情が考えられます)から抜け出し、しっかりとした収入を得られるようになったとしても、最大10年分もの追納は総額が大きすぎます。
 単純な計算で2020年度の月額保険料は16540円。1年で19万8480円、10年分の総額は198万4800円です。元々納付できなかったような収入と貯蓄の状況だったんです。20~40代の若い期間、住居費・教育費を始めとした費用負担を考えると、長期に渡る追納は優先度が下がってしまいます。

 追納した保険料は全額が所得控除の対象ですからしっかりとした収入を得られるようになり、貯蓄もある程度できるくらいの方々は問題ないでしょう。若い時期の追納ではなく、60~65歳の任意加入や60歳以降も厚生年金適用で働くこと(経過的加算)を優先することで大きな問題にはならないことも選択肢に入れてもらいたいです。
 実際に猶予を長く使うことになる方々がどれだけの人数がわかりませんし、非常にレアなケースなのだとは思います。「低年金化を防ぐための追納」と言うのは簡単ですし確かにその通りですし、もちろんケースバイケースですから一概には言えませんが、前半の文章はもう少し年金以外の視点による配慮があってほしいと感じました次第です。


<過去参照記事>
 ・2016年8月 国民年金保険料の若年者納付猶予制度が2016年7月以降は納付猶予制度へ
 ・2015年3月 国民年金保険料の産前産後免除【案】の報道について
 ・2019年9月 公的年金保険への要望(私案)

 次回はシラバス20.「年金額改定の仕組み」です。


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