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公的年金制度の理念・意義から【13】現役時代の平均賃金が低い者ほど所得代替率が高くなる所得再分配


 一般社団法人 企業年金・個人年金教育者協会という団体のwebサイトに公的年金保険研究会というページがあり、すばらしい内容ですので1つずつご紹介しています。

 公的年金保険研究会

 前回はこちら → 【12】実質的な価値を保障された年金額
 第13回目もいつも通りいくつか抜粋して紹介しコメントを書きます。

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■公的年金制度の理念・意義から
13.「基礎年金」は厚生年金保険における所得再分配を行う役割を果たしていること

・基礎年金と老齢厚生年金の合計額を見ると、定額給付である老齢基礎年金があることにより、厚生年金保険制度を通じて世代内の所得再分配機能が働き、現役時代の平均賃金が低い者ほど所得代替率が高くなる p1

・モデル世帯において、夫の現役時代の平均賃金が22万円である世帯の所得代替率は98.1%である一方、夫の現役時代の平均賃金が77万円である世帯の所得代替率は 46.1%であり、40ポイント弱の差がある p2


・国民皆年金の下、厚生年金で保険料に応じた給付を保障することで保険料を納める者の納得を得つつ(公平性の担保)、基礎年金(定額給付)を通じて所得再分配(格差縮小)も行うという仕組みを実現 p3

・公的年金保険制度のほか、医療保険制度、介護保険制度及び雇用保険制度などの社会保険制度は、全て所得再分配の機能を有している。例えば、高齢者世帯の平均当初所得(年金、医療等の社会保障制度による再分配前の所得)は約95.3万円であるが、再分配所得は350.2万円となり、約2.7倍 p3

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 シラバス13はA4サイズで4ページ分です。
 さあ、深くなってきました。所得再分配(格差縮小)が解説されている今回の内容が深くて好きです。核心はp3の厚生労働省資料です。

210116_02
 ※ クリックすると全体が表示されます。

 厚生労働省 将来の公的年金の財政見通し(財政検証)
 2019(令和元)年財政検証の資料
 2019(令和元)年財政検証結果のポイント(PDFファイル)の12ページ目です。


 年金を減らすなんて高齢者いじめだ!というような論調の年金受給額の多くない方々(報道を除く)は、平均より良い(所得代替)率で年金を受け取っている(受け取る予定)と私は勝手に思っています。
 9回目12回目に出てきた「所得代替率」は夫40年会社員・妻40年第3号被保険者というモデルケースなだけでなく、さらに平均賃金の人という前提があるんです。

 その平均賃金を下回っている人の所得代替率は高く、平均賃金を上回っている人の所得代替率は低くなるんです。
 社会保障の1つ公的年金保険の老齢年金は「防貧」の仕組みの1つであり、所得再分配の仕組みの1つです。貧困に陥らないように防ぐことが目的だからです。


 この観点からも厚生年金の「適用拡大」がいかに重要かも理解につながります。国民年金の定額部分を含む、報酬比例の厚生年金に加入しておくことが将来においていかに安心につかなるのかという理解です。


<過去参照記事>
社会保障教育のワークシート【発展】政府の役割と社会保障
社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~【第6章】分配なくして成長なし

 次回はシラバス14.「公的年金保険の構造・種類(国民年金・厚生年金)」です。



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