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社会保障教育のワークシート【発展】社会保障って何?


 厚生労働省webサイトで紹介されている社会保障ワークシートを読みました。

 私は常々「投資教育・金融教育よりも社会保障教育を」と発信しています。難易度が高いとはいえ、義務教育の教科書に”ちょっと気になる社会保障 V3”が採用されてほしいと思うほどです(リンク先は増補版の感想記事)

 前回、第3回目の記事はこちら。
 社会保障教育のワークシート【基礎】年金教材『10個の「10分間講座」』


 7種類のワークシートを順に取り上げる第4回目です。私による勝手な引用だけでもぜひ参考になりましたら幸いです。主には「指導者向け活用マニュアル」の文章を紹介しています。

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■ワークシート【発展】社会保障って何?

・この教材は「社会保障制度を理解するための見方や考え方」について、幅広い議論が展開できるように作成 p1


1.「自立」について考えてみよう!

・生活していくこと、やりくりの厳しさを理解させる p3
・厳密にやる必要はなく、やりくりの厳しさが実感できれば良い p3
・自分の努力だけではどうにもならないリスクの存在に気付き、社会保障制度の必要性を理解させる p5
・「貯金を取り崩す」「親から借りる」等の回答も予想されるが、「貯金がなかったら?」「親を頼れなかったら?」と問いかけ、考えさせる p5
・様々な理由で「自立が困難な場合もあること」を認識する p5
・「自己責任」等の回答が出た場合は、その状態を放置すると社会がどうなるかを考えさせる p5
・個人の力だけでは備えることに限界がある生活上のリスク(病気、けが、老齢、失業、死亡など)に対して、社会全体でセーフティネットを作り支えようとする仕組みが社会保障制度 p5


2.「自立」を支援する社会保障制度

・「自助」「共助」「公助」の違いを理解させる p7
・「共助」は(中略)病気やケガ、失業など、貧困に陥る原因となる事故に対してあらかじめ備えて生活が困難な状態にならないようにしており、人々が貧困に陥ることを防ぐ「防貧」の働き p7
・「公助」は、生活に困窮する人々に対して受給要件を定めた上で必要な生活保障を税金を財源として給付する仕組みである。貧困に陥った人を救済するという意味で、「防貧」機能に対して「救貧」の働き p7


3.政策としての社会保障制度

・所得の再分配機能とは、所得を個人や世帯間で移転させることにより、貧富の差を縮小し、国民の生活の安定を図るもの p9
・社会保障が行われない場合 「働かざる者食うべからず」という言葉のように、高齢者や障害者などの弱者が切り捨てられる社会となる p9

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 第2回目「【基礎】身近な社会保障を学んでいく」と同じ「一人暮らしのやりくり」から始まります。

 何のための社会保障なのかを身近に問う流れで、社会に出ていくことを高校生にもイメージさせるために大事なことなのだと感じます。今まさに家族が病気や障がいのような状況にある生徒にとっては大きなインパクトになることでしょう。何も困っていない状況であればイメージが難しいかもしれませんし、大半の生徒は後者の側でしょう。

 そんな中で大事なキーワードは「公助・共助・自助」「救貧・防貧」そして「社会保障制度は所得の再分配機能」です。
 正直に言いまして、私もこの仕事を始めてしばらくたってから知ることのできたキーワードです。ファイナンシャルプランナー(FP)を学んでも出てきません。自分自身で公的年金保険などを深堀して初めて触れることになった内容なんです。
 
 これらのキーワードは大人こそ学ぶ必要があります。高校生のときに学ぶ機会がなかった大人は全員が取り組むべき内容でしょう。

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 注文をつけるとすれば次の5点です。

・高卒または大卒の初任給で自立した一人暮らしのやりくりを考える(配布版p1左側)
 第2回目と同じ内容もあるのですが、「家賃:給料の1/3が目安」「食費:自炊中信で25000円程度」「水道・光熱費:6000~10000円程度」「通信費:3500~10000円程度」「日用品など:5000円程度」「預貯金:10%程度」と、いかにもな数字が並んでいます。「厳密にやる必要はない」という前提があったとしても、ここをいい加減に埋めさせるくらいなら、事前に条件設定してサンプルを見せてしまうのでも問題ないように思います。近い将来の社会が厳しすぎる現実では楽しくないですものね…もちろん楽観が良いとは思っていませんし、さじ加減は難しいとは思います。

・高額療養費制度(配布版p1左側)
 第2回目と同じです。

・3.政策としての社会保障制度(配布版p1右側)
 解説p2で「公的年金制度は社会保険料を主要財源にした、現役世代から高齢世代への仕送りの社会化(再分配)とみることができる」とありますが、厚生労働省から発信されている資料で「現役世代から高齢世代への仕送り」と書くのはよろしくないです。これは資料が何年も前だからでしょうか。
 この論理で言えば、障害年金と遺族年金の説明が難しくなります。障害をおって障害年金を受け取っている人、家族が亡くなり遺族年金を受け取っている人がすべて高齢者ではありません。
 再分配を正しく理解するには「就業者から非就業者への仕送り」と書かれている必要があります。

・1.社会保険の種類と概要(配布版p2左側)
 医療保険・介護保険・雇用保険・労災保険のように「保険」がきちんと書かれているのに、なぜか年金保険ではなく「年金」と書かれています。「年金保険」でお願いしたいですし、「公的年金保険」を推奨したいです。

・毎年とは言いませんが、数年に1回はデータを更新してもらいたいです。初任給のデータは2011年、家計調査データも2012年、国民負担率の国際比較データは2012年度見通しでした。

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 第4回目として取り上げましたのは社会保障教育ワークシート【発展】社会保障って何?です。

 私は義務教育におけるまっとうな社会保障教育が強く必要だというスタンスです。

 <次回> 社会保障ワークシート【発展】政府の役割と社会保障


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