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社会保障教育のワークシート【基礎】年金教材『10個の「10分間講座」』


 厚生労働省webサイトで紹介されている社会保障ワークシートを読みました。

 私は常々「投資教育・金融教育よりも社会保障教育を」と発信しています。難易度が高いとはいえ、義務教育の教科書に”ちょっと気になる社会保障 V3”が採用されてほしいと思うほどです(リンク先は増補版の感想記事)

 前回、第2回目の記事はこちら。
 社会保障教育のワークシート【基礎】身近な社会保障を学んでいく


 7種類のワークシートを順に取り上げる第3回目です。私による勝手な引用だけでもぜひ参考になりましたら幸いです。主には「指導者向け活用マニュアル」の文章を紹介しているのですが、今回の3回目はマニュアルがありません。その点についてこの記事の終盤に触れています。

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■ワークシート【基礎】年金教材『10個の「10分間講座」』
・高校生が最低限、今のうちから知っておくべき社会の仕組みがこの10個の「10分間講座」でわかる!

①「100歳まで生きる」が当たり前の時代に?

②高齢者になったら、どう生活していけばいい?

③そもそも、国の年金の仕組みは?
・大人でも「自分が払ったお金だから、自分の老後のために積み立てている」と誤解してしまいがち
・厚生年金は1942年、国民年金は1961年に創設。20歳で払い始めた人が年金をもらうのが65歳だから、制度が成熟するにはおよそ50年がかかります

④そもそも、私たちの一生の負担と給付は?
・いつの時代も、一生で見ると人生は基本トントン!

⑤そもそも、どうして国の年金は「仕送り方式」なの?
・50年後の社会はどうなっているのでしょうか?
・たとえば、老後に備えて50年前の22歳の時に頑張って初任給の半分「1万円」を貯めておいたとします。50年前の「1万円」ならば、「うどん約200杯分」を購入できるだけの金額になるのですが、50年後の現在の「1万円」では、「うどん16杯分」しか買えなくなってしまっています

⑥年金は「貯金」なの?それとも「保険」なの?
・年金は、「貯金」じゃなくて「保険」!

⑦年金の保険料を払わないとどうなるんだろう?

⑧少子高齢化が進むと年金はどうなるの?
・2050年ごろには、高齢化の進展も落ち着く見込みになっていて、その後は徐々に計画的に積立金を使っていって、それに保険料と税金を合わせて、年金を支給できるようになっていく

⑨もし、年金の仕組みがなかったら…?
・「支える人」は20~64歳、「支えられる人」は65歳以上という機械的な考え方は、それでいいのでしょうか? 例えば、これまで20~64歳の「全員」が「支える人」だったのでしょうか?

⑩これからの社会をどう考えていけばいいのか?
・現実の社会はそんな単純な世界ではないというところまで理解できることが重要
・現代では、昔より、もっと「支える人」の多様性が増してきました
・「年齢のみに基づく単純な指標」で“思考停止”になってしまうのではなく、世界に誇れる“支え合い”のモデルを構築するにはどうすればよいか、みんなで考えてみましょう。

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 計22のクイズ(Q)と計3つの議論のお題です。すべてをきちん授業で取り上げるのであれば2~3コマでしょうか。きちんと議論することを考えれば確実に3コマの確保が必要に思います。

 制度・仕組みの解説ではなく概念・考え方を抑える内容で、最後の「みんなで考えてみましょう」は最高の流れです。
 公的な保障の概念・考え方を知ることができていれば、大人になってからあおられた情報・報道・提案に惑わされたとき、「?」をもって一歩踏みとどまることができる可能性が高くなります。その場で鵜のみにすることなく、調べてみよう・専門家を頼ってみようと思えることが大事です(すみません、若干ポジショントークです)

 この教材のタイトルに「高校生が最低限、今のうちから知っておくべき」と入っていますが、大人こそ学ぶ必要があるでしょう。核心である「就業者と非就業者」の情報も含まれていますので、高校生のときに学ぶ機会がなかった大人は全員が取り組むべき内容と言い切りたいです。

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 注文をつけるとすれば次の3点です。

・全体で「もらう」「もらえる」を使いすぎです。
 途中に「受け取る」「給付がある」なども出てきますが、障害年金・遺族年金の解説にのみ集中しており、老齢年金はほぼ「もらう」「もらえる」で統一です。いつも書きますが、公的な保障による給付に対して使う表現として適していないと思うのです。受給の要件を満たしたからこそ「受け取れる」仕組みです。
 国民年金保険料の免除の解説でも「免除してもらう」「免除してもらった」という表現が使われています。「免除できる」「免除できた」で良いです。

・指導者向け活用マニュアル
 この第3回目のみマニュアルがありません。クイズ部分を生徒、答え部分が教員という分け方なのかもしれませんが、解説にあたって「答え」も配布か掲示すると思うんです。そうなれば他のパートのように教員向けのマニュアルがあってほしいです。

・毎年とは言いませんが、数年に1回はデータを更新してもらいたいです。平均寿命(簡易生命表)・家計調査のデータが2011年で、厚生年金の保険料率は8%(労使折半)でした。(現状は9.15%)

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 第3回目として取り上げましたのは社会保障教育ワークシート【基礎】の「年金教材『10個の「10分間講座」』」です。

 繰り返します。タイトルに「高校生が最低限、今のうちから知っておくべき」と入っていますが、大人こそ学ぶ必要があるでしょう
 私は義務教育におけるまっとうな社会保障教育が強く必要だというスタンスです。

 <次回> 社会保障ワークシート【発展】社会保障って何?


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