”医者がマンガで教える日本一まっとうながん検診の受け方、使い方”(2018年8月6日 第1版 第1刷発行)を読みました。

著者は近藤慎太郎医師。ブログ「
医療のX丁目Y番地」はこちら。
ツイッターでフォローしている医療関係者の方々が推薦されていましたので手に取りました。一応のお伝えですが、私は面識ありません。
いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。
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■はじめに
この本の特徴はマンガです。絵に好き嫌いはあると思います。私も二択であればあんまり好きな絵ではありません…でも、あずま留の介さんは憎めないタイプで嫌いじゃないです(笑)
マンガのおかげで、めちゃめちゃ読みやすいと思います。
■おわりに
・定期的にがん検診を受けて最新医療の恩恵に浴する人たちと、そうでない人たちの間には、なんと大きな差があるのか。(中略)正しい医療情報を知らないばかりに、ここまで決定的な差がついてしまうのです。 p308
本の紹介の際にはいつも書きますけれど、はじめにの流れで本編を読む前に、あとがきを先に読むスタイルをお勧めします。
本の目的・著者の思いを先に知ることができるからです。動機付け、大事です。
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■1章 肺がん:がんの中でも死亡数は第1位! 喫煙者は要注意
・もし喫煙者が末期の肺がん患者の様子を目の当たりにしたら、その日から近影できるのではないかとも思います。 p20
・「喫煙はゆるやかな自殺」と言っても過言ではありません。 p30
直球でズバッと刺さる表現も多く、読み進めやすい本です。
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■2章 胃がん:罹患数は減少傾向。だがピロリ菌の除菌は"万能"ではない
・きちんと調整したらどうなるかというと、2015年のすべてのがんの年齢調整死亡率は「121.3」(人口10万人のうち1年間にがんで亡くなる人)になります。つまり1985年の「156.1」と比べて、20%程度下がっているのです。 p46
・地獄の胃カメラ検査、ラクに受けるには p61~
各がん種の解説だけでなく、全体の統計や考え方も散りばめられています。統計データの読み方、知っておくべきです。
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■3章 前立腺がん:男性なら誰もが気になるがん、前立腺肥大やEDとの関係は?
・早期の前立腺がんを「手術するグループ」と「治療せず経過観察するグループ」にランダムに分けて20年間経過を追ったところ、両グループで前立腺がんの死亡率には、統計的な差がなかったという、かなり衝撃的な報告もあります。 p77
精巣腫瘍患者友の会をお手伝いしていますので、泌尿器科つながりの前立腺がん情報も触れる機会があります。ロボット手術のダビンチ、先進医療(当時)の重粒子線治療など過剰な競争になっているような、何とも言えない気持ちになるときがあります。
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■4章 肝臓がん:お酒好きは要注意。肝臓だけではない、アルコールの破壊力
・適量の飲酒量の人が一番死亡率が低いという有名なデータがある。通称Jカーブ。 p119
データの読み方、背景を知ることって大事です。
グラフにゼロが2つ並んでいる意味、よく理解できます。
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■5章 食道がん:急増中の逆流性食道炎と食道がんの悩ましい関係性
・大多数の日本人の意にピロリ菌がいないという、有史以来おそらく初めての時代を迎えます。何が起こるか誰にも分かりません。 p150
ピロリ菌がいなくなり、胃カメラ検査の機会が減ることで食道がんの発見機会も減ってしまうという弊害、これは衝撃的でした。人間の身体というのは絶妙なるバランスなのですね。
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■6章 大腸がん:死亡数はがんの中で2位! 大腸カメラは辛い? 辛くない?
■7章 小腸がん:消化管の「暗黒大陸」、カプセル内視鏡が検査で活躍
・大腸カメラよりもキツイ、検査前の大量の下剤 p161
私も40歳を超え、大腸カメラを優先的に受けようと思ってるんです。でも、病院選びで悩んで前に進みません。今年度~来年には必ず!
<追記>
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受診しました---
■8章 膵がん:進行が速く、悪性度も高い! とにかく「避ける」しかない
・膵頭(すいとう)十二指腸切除術 p192
・がんで死ぬことは恐ろしいことなのか p200~
200~205ページは絶対に読み飛ばさないでほしいです。
先に書きました患者会をお手伝いし始めてまもなく7年、がんは怖い病気だと感じなくなっている私です。もちろん実際に自分自身や家族が罹患すれば気持ちは変わるかもしれません。でも、今日の明日でいきなり生が断絶されることはないという意味合いにおいて、恐ろしいとは感じません。事故や心筋梗塞・脳卒中など、今この瞬間から先が急に閉ざされることのほうが圧倒的に恐ろしいです。
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■9章 乳がん:若い女性は要注意、検査で見逃さないために
・「乳腺濃度は4グループのどこに入るのですか」 p224
女性の皆さま、定期的な乳がん検診、受けてくださいね。本当に。
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■10章 子宮頸がん:「HPVワクチン」問題、結局受けるべきなのか
・なぜ日本のHPVワクチンは接種率が低いのか p234~
一刻も早く定期接種が再開されてほしいですし、男子も対象になってもらいたいですし、早く9価ワクチンが認可されてほしいです。
<過去参照記事>
”10万個の子宮 ~あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか~”読みました。---
■11章 PET検査、血液がん検診:最先端のがん検査技術、果たしてどう使えばいい?
■12章 がん検診懐疑派への反論:制度は満点ではないけれど、受ける価値はある
・一部の受診者は、不安と疑心暗鬼のるつぼに陥ってしまうのです。 p266
・がん検診でがんが見つかる可能性が低いのは、健康な人ほどがん検診を定期的に受けていて、リスクの高い人たちほど受けていないからです。 p283
・良性と悪性の境界線、見極めは非常に困難 p294
少し難しいかもしれませんが、しっかり読んでもらいたい章です。易しくわかりやすい文章になるようにされているのが伝わってきます。
この本を強く推奨されていた仲野先生の講座報告リンクを紹介しておきます。
「がんってなに? 知っておきたい病気の基礎知識」受講しました 仲野先生の講座を受講して、今回の本の感想記事を早く書かねばと思った次第です。
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この本は一家に一冊置いてあって良いです。気になるがん種の章を引きやすいです。「第1版 第1刷発行」とあるように今後改訂版を発行しやすいようにしておられるように感じました。
マンガもきれいに落ちていて最高です。近藤慎太郎医師のお話を聞ける機会を探したいです。
長文をお読みくださり、ありがとうございました。
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