FP技能士検定を管轄する金融財政事情研究会(きんざい)による全面広告が某全国紙に掲載されていました。

この見出しのまわりに7人の体験談が出ています。学生4人、銀行にお勤め3人の計7人で、このうち3人が金融志望のため取得、1人が金融機関への就職内定後に取得、1人が入行後に取得という、非常に金融機関に偏った体験談だったことが印象的でした。
残り2人も、1人は会計ファイナンス学科で学ぶ学生さんで「学んだ知識を社会に役立てる形で還元していきたい」という志の高さ。最後の1人も無理矢理でしょうか。就職活動で損保会社の話を聞いたとありました。
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FP3級資格取得講座の全6課目を受け持っている立場としてお伝えしたいのは、決して金融機関で働くための資格であったり働くことが有利になることに限った資格ではないということです。
「生活に役立つ基礎知識」に間違いありませんので、自分自身のため家族のためだけに学んでみるという緩やかな向き合い方も存在しますし、専門学校ではなくリビング新聞社で講座では実際にその傾向が強いと日々感じています。
資格付与団体は資格を取得してもらわないと団体を維持できませんし、維持するためには受検者が増え、資格保有者が増え、受検料や会費を払ってくれる人が増えないといけません。手っ取り早いのは就業者や志望者の多い銀行・保険・証券を中心とした金融機関であることも間違いありませんし、その視点からはこの全面広告に異論はありません。
でも独占業務が存在せず、国家資格として1級・2級・3級、民間資格としてAFP(2級相当)・CFP(1級相当)という複雑かつ幅広い層を対象とした区分が存在するFP資格はすでに100万人以上が資格を持っています。いわゆる簿記や英検並みに身近でチャレンジしやすい存在になってきていると感じます。
すみません、私の勝手な感じ方かとは思いますが、簿記や英検のように「専門性」を打ち出すよりも基礎知識として裾野を広げる位置づけであって良いと思うんです。
専門家としての位置づけを強くPRしたい意図はわからなくもありませんが、「広がるFP技能士の活躍フィールド」という見出しにもかかわらず、金融機関(しかも銀行)に偏った内容になってしまう記事であることで、「金融機関に広がるFP技能士の活躍フィールド」にしてもらう必要性を感じてしまうほどです。
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私が個人開業したのは2010年4月、33歳のときでした。早いものでこの記事を書いている時点で41歳になりましたけれど、金融機関にお勤めの方々による保有者を除けば、いまだに私も若手のままのように感じますし、実際に若手ですし、気持ちも若手のままです(すみません。
FP関連での交流が(私は)多くないとはいえ、全国的に見ても新しい人がほとんど出てきていないように感じるんです。
開業を強くPRしたいわけではありませんし、勧めるわけでもありません。
個人的にはFP(ファイナンシャルプランナー)が存在しなくても、何も困らない世の中が理想なのかなと感じる私もいます。
全面広告ではもっと幅広い選択肢を打ち出してもらいたいと感じた次第です。
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