日経ビジネス2018年10月8日号特集
「無定年」時代 年金激減後の働き方 ログインしないと全文は読めないのですが(私は定期購読していますので誌面で読みました)、ログインしてまで読むほどの内容ではありません(すみません。
でもなぜブログで取り上げるのかというと、根拠のないもしくは根拠がデタラメな年金不安・年金不信をあおる記事が10年前に比べると減っているとはいえ、それでもこれだけひどい内容が出てくるのかという残念ながら好例だと感じたからです。
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本誌に掲載されていた図です。

※ クリックすると全体が表示されます。
公的年金の積立金は約180兆円。これが棒グラフの通り、これから約100年かけて取り崩されていくという厚生労働省の試算です。これは問題ないです。
白の線グラフ。本誌独自の試算ということで、あっという間にあと40年ほどで枯渇するというもので、タイトルの「年金崩壊カウントダウン」と合わせて、強いメッセージ性のある「あおり記事」となっています。
私が気になったのは前提条件です。右上に小さな字でたくさん書かれています。
「物価と賃金の上昇率を2013~2017年平均のそれぞれ0.44%」
厚生労働省による試算の値がそのまま当てはまるかどうかはもちろん将来になってみないとわからないことですが、とりあえず言えることはこれです。
これからの将来がずっと、物価と賃金の上昇率が0.44%というのは公的年金の心配をするより前に、大前提として日本の社会の景気感がずっと低いままということで、そんな社会だったら公的年金もどうしようもないんじゃないの?という感覚です。
バブルのときのような好況感やずっと右肩上がりの時代がこれから起こるのか起こり続けるのかでいえば間違いなくNOでしょう。だからといって、悲観的過ぎる条件を公的年金だけに当てはめてあおるのは筋が違うとしか思えません。
その条件を当てはめた場合に世の中がそもそもどんな感じなのかも同時に伝えてもらわないと何の信ぴょう性もありません。公的年金以外に影響がない!なんてことは考えられません。
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この雑誌は経済誌です。読者層は(表現が適しているかどうかはわかりませんが)経営者・役員・管理職クラスや平均以上の収入を得ている方々を対象にしているはずです。(私も読んでいるくらいなので実際にはわかりませんけれど)
そんな方々でもおそらくこういった前提条件は自分自身の専門外であれば確認しないでしょうし、結局はタイトルや見出しに踊らされてしまうのだろうと思います。
細かな数字の検証はどなたか他の専門家に譲ります。大事なのはこういった記事(見出し)に踊らされない基礎的な知識です。
小学校・中学校など義務教育課程において公的年金をはじめとした社会保障(社会保険)教育が必須になってもらいたいと願う私です。
何度でも何回でも次の記事の紹介リンクを貼り続けます。
<過去参照記事>
”ちょっと気になる社会保障 増補版”読みました。 公的年金についてマイナスな発言をする人には必ずこの本を勧めてください。
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