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”「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由”読みました。


 ”「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由”(2017年9月15日第1刷)を読みました。

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 ※ クリックすると全体が表示されます。

 著者は保険相談室 代表の後田亨さん。ブログはこちらです。
 2017年末のブログ記事で4刷と書いておられました。おめでとうございます!


 まず始めに書いておきます。後田さんとは友人(すみません!)ですので、ひいき目があります。ご承知おきのうえ以降をお読みください。

 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに

・断っておきますが、私は、「保険否定論者」ではありません。「不要論者」でもありません。 p7


■プロローグ
 --保険はできるだけ入らないほうがいい!?


■1章 「保険に入っておけば安心」の大間違い
 --プロは知っている、保険はお金を失いやすい手段!?

・タレントが若くしてがんに……だからがん保険は必要? p24~
・「一件落着願望」 p38


■2章 「お金が戻ってくる保険」の隠されたデメリット
 --「掛け捨て」以外の保険を絶対に薦めない理由


 フリーのライター「中村さん」との会話形式で進んでいきます。単に制度の解説が進むより一般には読み良いと思われます。

 「一件落着願望」言い得て妙です。
 心理に付け入る商品が悪いわけではありません。それは生命保険に限った話ではないからです。
 だからこそ消費者が一度立ち止まって考えてみることの重要性を後田さんは伝えてくださっています。


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■3章 実際に保険ショップで営業を受けてみた
 --ショップの定員おススメ保険の裏事情

・予算の上限まで勧誘される p70~


■4章 「一生涯の安心」なんて幻想
 --長期契約ほど高まるリスクがある

・わからないことにどうやって備えるんですか(笑) p91


 「購買力平価」(p82)、「お金の価値」(p84)など、何十年もの長期の保険契約を考えるうえでは切っても切れない考え方にもきちんと触れられています。でも、このあたりは保険(保障)と何の関係があるの?と感じられるのが普通ではないでしょうか。

 後田さんからいただいた直筆メッセージでもこの4章に触れられていました。大事な内容です。


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■5章 年金不安はこう考えるとラクになる
 --国の公的年金があてにできない人の対応法

・将来の老後資金対策で、一番確実な方法 p129~


 ファイナンシャルジャーナリスト竹川美奈子さんの最新著にも登場していました権丈先生の本が後田さんの本でも取り上げられていました。
 ”ちょっと気になる社会保障 増補版”読みました。
 生命保険に興味を持って後田さんの本を手に取った人に、権丈先生の本の存在が伝わるのは大事なことです。嬉しすぎます。


 そして、つっこみどころを1つ。p122にある、ライターの「中村さんの年収が300万円(課税所得)だとします」という例です。
 1章の高額療養費の説明の部分(p41)では「中村さんの場合(中略)年収312万円以下のようなので」とあります。中村さんは給与所得者ではないということで国民健康保険ですから詳細な区分の判定は難しいのですが、この年収の場合には高い確率で課税所得は195万円以下(所得税率5%)のように感じます。
 iDeCo(個人型確定拠出年金)の説明で中村さんを登場させるなら、所得税率10%を使うのは iDeCoを過剰に推奨していると取られかねないと感じてしまったんです。ああっ、自分で書いていて細かすぎて悩ましいです。


<2018年1月27日追記>
 後田さんがこの記事を読んでくださり、予定されている第5刷で修正されるようです。
 いただいたメールをご紹介します。

 「中村さんの課税所得の件、ご指摘の通りです。細かくも何ともありません!
 再構成~書き直しで、書きおろし同然になってた中でのチェック漏れです。編集者に連絡したところ、5刷になる可能性大なので修正の用意をすることになりました。気が向いたら自分のブログでも「かくかくしかじか・・」と報告するつもりです。
 ともあれ、大変ありがたいご指摘でした。繰り返しになりますが、ありがとうございました。」

 後田さん、丁寧な文面ありがとうございます。
 勝手に転載しちゃってすみません!


<2018年1月31日追記>
 後田さんがご自身のブログで説明されていましたので、リンクをご紹介しておきます。
 近刊の訂正部分


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■6章 それでも保険に入るなら、見直すなら
 --「保険のプロ」が薦める、検討に値する保険商品とは?

・仕事柄「何かあったらどうする?」という話をする機会が多いんですが、「何もなかったらどうする? 確率的には『不測の事態は起きないままお金がかかる日々』のほうが長いんだから」と思うんです。 p148

・「有料相談が最高!」と言うつもりはまったくなくて、消去法で「どう考えてもマシだと思いませんか?」という感じなんです。 p176


■エピローグ

・私は消費者が変われば生命保険の商品やサービスは変わる、そこに関わる人も変わる、いまより、かなりマシな未来がやってくる、と信じています。 p187

■おわりに


 「何かあったらどうする?」「何もなかったらどうする?」のバランスを取れる方向で対応するのが「有料相談」だと信じています。

 時々書くことなのですが、収入のほぼ100%を保険商品の販売手数料で得ていてもファイナンシャルプランナー(FP)と名乗っている人は多いですし、募集人(営業職員)を紹介しているサイトでも「ファイナンシャルプランナー紹介」というタイトルになっていたりします。

 そういった方々は単に「FP」ではなく、「FP資格を持った販売員」さんです。それが悪いのではなく、立場を明らかに認識できる力が相談する側に求められているんだと思います。


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 前著から1年半、主張の根幹は大きく変わりませんが、伝え方・題材はリニューアルされ、その背景には表現方法の生みの苦しみをいつもおっしゃっている後田さんです。その過程を直接に耳にしているからこそ、たくさんの人に読んでもらいたいと伝えたいです。

 

 後田さんの本の感想は何本も書いていまして、以前の分での個人的なお勧めはこちらです。
 ”生命保険は「入るほど損」?!”読みました。
 私がデータ提供した遺族年金に関する資料が1ページを独占しているからです!

 
 長文をお読みくださり、ありがとうございました。



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